4)パーソナライズはシナリオが命
1to1のパーソナライズはもちろん高い効果が期待できるが、コストも手間も増える。あくまでもシナリオ次第で必要に応じて取り組むべき。シナリオによっては、ある程度のセグメントに分けるだけで十分な効果が得られる場合もある。
5)クリエイティブよりタイミング
コミュニケーションの4大要素である「ターゲット(誰に)」「タイミング(いつ)」「クリエイティブ(どのように)」「オファー(何を)」の中でも、特にタイミングが重要。デジタルの技術でユーザーの状況変化を容易に捉えられるようになった今だからこそ、最適なタイミングでのコミュニケーションを実践することに注力すべき。
休眠顧客のアクティブ化を目的としたアダストリアのDM施策
国内外で25ブランド、約1,300店舗を展開するファッションカジュアルチェーンのアダストリアも、鈴木氏が日本郵便で進めてきたデジタル×アナログ施策の実証実験に参画した1社だ。自社ECやモールECの運用支援、各ブランドのデジタル戦略支援など、通常はまさに「デジタル領域」を専門に担当するWEB事業本部シニアマネージャーの渡辺氏が中心となり、アナログ施策主体の実験に取り組んだ。
大木 どのような取り組みだったのか、実験の内容を教えてください。
渡辺 休眠顧客のアクティブ化を目的として、DMというアナログ施策がその有効な手段となり得るのかを検証しました。休眠顧客の定義としては、直近1年間でECおよび店舗での購入がないこと、かつEメールの受信許可をされていないことです。お客様の年齢層が幅広いので、今回の実験ではターゲットを10~20代のヤング層と30~40代のアッパー層のふたつにセグメントしています。
各層にマッチしたブランドの訴求とECサイト誘導用のQRコード、オファーとして「5,000円以上の購入で500円引き」のクーポンを付けたDMをターゲットに送付して、約1ヵ月間でどれだけの方がアクションされるか計測しました。