地図をかわいく楽しく 社員の発想から始まった雑貨物販への挑戦
1946年に創業し、長年「地図」や「位置情報」を軸にデータを用いたBtoBビジネスを展開してきたゼンリン。同社が近年、その資産を生かして新たな顧客接点創出に挑んでいることをご存じだろうか。
ゼンリン初のBtoCチャネルとして展開しているのは、地図柄グッズ専門店「Map Design GALLERY」。保有する日本全国の地図情報を、独自の切り口で日常に馴染む雑貨やコアな層に刺さるグッズとして形にし、九州地方を中心とした店舗とオンラインストアで販売している。
同ブランド誕生のきっかけは、2016年。「若手社員の“ある気づき”からプロジェクトが動き始めた」と、ビジネス企画室 ビジネス企画部 EC企画課 課長の山口朋希氏は振り返る。
「当時のゼンリンでは、新たなビジネスを模索するようなプロジェクトがいくつか動いていました。若手女性社員3名で構成されたグループから、『ゼンリンの地図データをもっとかわいく楽しく活用できないか』といった提案があって生まれたステーショナリーシリーズ『mati mati』が、Map Design GALLERYの原点です」
日々、地図をデータとして扱いながらも、その“見た目”にはあまりフォーカスすることがなかったと語る山口氏。しかし、データの正確性を維持しながらも、色やデザインを施すことでこれまでの地図にないかわいらしさや楽しさが表現できると気づきを得て、新たなビジネスとしての可能性が芽吹いていったという。
「私は当時広報部門に在籍していて、mati matiの商品PRに携わっていました。まだ自社でチャネルを立ち上げる計画はなく、文具店や雑貨店などへの卸売りを中心に展開していたのですが『ニッチな商材だからこそ、単にものを作って売るのではなく、エンドユーザーの声を聞くべきなのではないか』といった声が社内から上がり、方針転換をしました。そして、Map Design GALLERYへのリブランディングを経て、本社のある福岡県北九州市に直営店をオープンしたのが2019年です」
