ECなら取扱点数の上限が解放できる 店頭×ファミマオンラインで何を目指すのか
日本全国に約1万6,400店舗を構えるコンビニチェーンのファミリーマート。同社は旧来のウェブ予約やギフトサービスを進化させたECサービス「ファミマオンライン」を2025年3月に立ち上げ、オンラインの世界でも挑戦を続けている。この取り組みの意図について、近藤氏は「大きく三つの理由がある」として、こう説明した。
「第一は、『売場拡張』です。ファミリーマートは既に日本全国に多くの店舗を構えていますが、各売場の面積は限られています。店頭で扱えるのは約3,000SKUと考えられていますが、ECであれば、こうした物理的な制限を超えた商品ラインアップの拡充が可能です。ECと店舗の連携により、売上増につながると考えました」
第二の理由は「店舗とデジタルの融合による顧客体験の向上」である。ファミマオンラインでは、一般的なEC同様の指定住所配送に加え、サイト内で設定した「お買い物店舗」での店舗受取や予約商品の事前決済にも対応している。「店舗に行かなければ買えない」という従来型の購買方法に多様性をもたせることで、ファミリーマートと顧客との接点をさらに増やす考えだ。
そして近藤氏は第三の理由として、「ファミペイ会員増加による顧客基盤強化」を挙げた。ファミペイは単なる決済ツールではなく、後に説明するデジタルコマース事業の核といえるもので、すべてのサービスのハブとして設計されている。このファミペイを中心に置いたデジタル戦略の全体像を、ファミリーマートでは「カスタマーリンクプラットフォーム」と名付け、地域密着型・顧客ファン育成に取り組んでいる。
「ファミペイは既に2,700万ダウンロードを記録し、多くのお客様にご利用いただいております。ファミペイ会員はIDデータが捕捉できる一般顧客と比較して月々の来店回数・購買金額が約1.5倍で、いわば“超優良顧客”の集まりです。この顧客群を最大限に活用し、新たなビジネスを展開する。これこそが、ファミマオンライン運営の真の目的です」
