プッシュ通知を増やす=離脱につながるのか? 疑問に正面から向き合ったTHE NORTH FACE
アウトドアブランド「THE NORTH FACE」や「Goldwin」を展開するゴールドウイン。日本国内外で展開する直営店や自社EC「Goldwin Online Store」、ブランドアプリなど、あらゆる顧客接点を有する一方で、顧客に情報を届けたいと考える関係者の多さゆえの“ある課題”を抱えていたと都地氏は振り返る。
「特にTHE NORTH FACEはブランド規模が大きく、ブランド事業部、EC部門、直営店部門と社内の関係者が非常に多く存在します。当時は、関係各所がどう協業して一貫したメッセージを配信していくか、コミュニケーション戦略に対する課題を抱いていました」(ゴールドウイン・都地氏)
特に顕著だったのが、THE NORTH FACEアプリにおけるプッシュ通知の活用だ。顧客に伝えたい情報は数多くあれども、「アプリのプッシュ通知数を増やしすぎると、通知拒否どころかアプリのアンインストールにつながってしまう」といった業界の通説から、配信数や内容の精査をしなければならず、「その判断がなかなか難しかった」と語る都地氏。
しかし、新商品やコラボレーション商品の販売情報、店舗でのイベント開催告知、特集コンテンツなど、ブランドの魅力を多面的に伝えるコンテンツは日々生み出されている。こうした豊富な情報資産が、固定観念によって顧客に届けられることなく埋もれてしまうのは、大きな機会損失であると考えた都地氏は、メグリと手を組んである仮説実証を行うことにした。
「私たちは、『ブランドの熱心なファンにとっては、情報が多すぎることよりも、価値ある情報を見逃すほうがマイナスな体験になるのではないか』と考えました。魅力あるコンテンツを適切な対象者に届けられれば、配信数を増やしても満足度は低下せず、通知拒否やアプリからの離脱も防げるはずと仮説を立て、検証をしてみたのです」(ゴールドウイン・都地氏)

