購買の障壁をAIエージェントですべて解決する
LINEヤフーのコマースドメイン ショッピングSBU 統括本部長を務める杉本務氏は、現在のネットショッピングが抱える「検索疲れ」という課題を指摘。 杉本氏は「ネットショッピングは便利になった一方で、商品を探していて疲れると感じるユーザーは少なくない」と述べ、購買に至るまでのプロセスに存在する多くのストレスが、依然として解決されていない現状を明かした。
たとえば、商品選びにおける「どれが良いかわからない」、比較時の「ページを跨ぐのが面倒」、意思決定時の「今日買って損をしないか不安」といった心理的・実務的な障壁である。これらを一気通貫で解決するソリューションとして同社が提示したのが「Yahoo!ショッピング AIエージェント」だ。
同機能は、単なる検索のアシストに留まらない。ユーザーの抽象的な要望を汲み取り、「なぜその商品がおすすめなのか」という根拠を提示しながら、最適な選択肢をサポートする。たとえば、各商品ページに散在している情報をAIが自動で収集し、ユーザーが重視する軸に基づいた「比較表」を瞬時に生成することが可能だ。

杉本氏は、同機能の戦略的意義について「Yahoo!ショッピングの中だけに閉じず、グループサービスや外部の生成AIとも連携し、あらゆるシーンで買い物をサポートしていく」と強調した。 リリースを皮切りに、今後は過去の注文履歴を学習したパーソナル提案や、ユーザーの行動に合わせた能動的なレコメンドへと進化させ、9月には「探す前から欲しいものが提案されている状態」の実現を目指すという。
「UIからUXへ」──開発責任者が語るエージェント設計の思想
続いて登壇した、コマースカンパニー ショッピングSBU プロダクト開発本部長の市丸数明氏は、開発の根底にある思想を「プロダクトはUIからUXへ移り変わっていく」と表現した。これまでのUI(ユーザーインターフェース)主導の設計では、100人いれば100通り存在するユーザーの多様なニーズに個別対応することに限界があった。
市丸氏は「これまではプログラムに書いていないことはできなかった。しかし、これからはAIが適切にAPIを使い分け、ユーザーが求める形でアウトプットする」と語り、AIがインターフェースそのものを代替していく未来を示唆した。
さらに、同氏はAIエージェントのデモンストレーションを披露。「いつものコーヒー」と入力するだけで、AIが過去の購入履歴からユーザーが「インスタント派」であることを理解し、愛飲している銘柄の最安値を即座に提示する。
また、本格的なコーヒーメーカーを求めるユーザーに対しては、ドリップ式やエスプレッソ式といった専門知識を補足しながら対話を進め、さらには「お手入れの簡単さ」といった特定の軸で商品を比較整理してみせた。
特筆すべきは、AIエージェントと既存のショッピングページがシームレスに行き来できる点だ。市丸氏は「1から10までAIに強制されるのではなく、好きな時に呼び出し、好きな時に離れていつもの買い物を楽しんでほしい」と説明。
購入を迷っているユーザーが「安くなったら教えて」と依頼すれば、価格下落時にプッシュ通知を送るなど、検討フェーズを長期的にフォローする機能も備わっている。
