価格ではなく価値で選ばれるブランドをAmazon Adsで実現する
━━まず、今回ファイナリストに選出された取り組みの概要についてお聞かせください。コピー用紙ブランド「PaperOne」を展開されているAPRIL様は、日本においてどのような目標を掲げ、どのようなアプローチでブランドストーリーを構築されたのでしょうか。
※Amazon Ads パートナーアワードは、デジタル広告における革新的な取り組みやイノベーションを推進したパートナーを称える表彰プログラムです。Brand Storytelling部門は、キャンペーンの目標を実現させたパワフルなストーリーを通じて、優れた創造力がどのようにブランド認識を変え、オーディエンスとの感情的なつながりを築いたかを示したパートナーを表彰します。GROOVEは、新たなブランド認識を生み出したAPRILの事例が評価され、APACにおけるファイナリストに選出されました。
川﨑 弊社はシンガポールに本社を置く、パルプ・紙製品を製造する企業APRILの日本法人です。主力製品であるコピー用紙「PaperOne」はグローバルで展開していますが、日本を新規獲得の重要なチャネルとして捉えていました。
日本国内では、コピー用紙は価格で選ばれる傾向が非常に強く、まさにコモディティ市場の典型です。その中で、単なる消耗品ではなく「PaperOne」というブランドを選んでいただくためには、日本に合わせた新しい価値やストーリーが必要だと考えました。
田中 GROOVEは、創業当初からEC事業者のビジネス成長を支えるコンサルティングサービスを提供しています。今回のAPRIL様とのプロジェクトでは、「価格ではなく価値で選ばれるブランド構築」をテーマに掲げ、Amazon Adsを中核としたフルファネル戦略を実行しました。
スポンサーブランド広告やスポンサーブランド動画広告、ブランドストアといったAmazon Adsのソリューションを統合的に活用し、ブランドの持つ「エコ・エシカル」な側面を消費者に向けて発信することで、カテゴリー内のベストセラー獲得とブランド再構築を目指したプロジェクトです。
ブランドストーリーが求められる背景とは?
━━なぜ、そこまで「ブランドストーリー」に力を入れる必要があったのでしょうか。
川﨑 コピー用紙はコモディティ化が進んでおり、Amazonなどのオンラインストアでは特に価格競争が激しい状況にあります。私たちもGROOVE様支援のもと、テクニカルなSEOや、基本的なスポンサープロダクト広告の運用から着手し、売上の下地はつくっていきました。
しかし、その先に待ち受けているのは疲弊するだけの価格競争です。永続的な成長を考えると、価格の安さという一面的な訴求点だけでなく、「PaperOneだから選ぶ」という、価格以外の理由をお客様に見つけていただく必要がありました。
田中 そこで私たちが提案したのが、Amazon内でのブランディングを行い、市場のゲームチェンジャーになるという目標です。価格を競うレッドオーシャンから脱却し、ブランドが持つ本来のストーリーを可視化することに注力しました。
APRIL様は持続可能な森林管理やカーボンニュートラルな紙づくりなど、企業として責任ある活動をされていましたが、本国の社内のマーケティングチームは、それを日本のカスタマーに訴求することが価値になるとは思っていないようでした。なぜなら、本国ではそういった製造背景のもと、実績をつくり一定の認知を得ていたので、あえてそれを語ろうという発想にはなっていなかったのです。しかし、私たちは、この「当たり前すぎて語られていなかった」ストーリーこそが、日本の生活者にとっての新しい「選ぶ理由」になると確信していました。

