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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

海外顧客ともつながり続けたい──松屋銀座の新ECに学ぶリピート促進施策 これからの百貨店の役割を問う

 老舗百貨店である松屋銀座が、デジタル戦略の転換点を迎えている。2024年11月にオムニチャネルプラットフォーム「matsuyaginza.com」をオープン。実店舗と連携した顧客体験の提供により、リピート増を目指す。様々な買い物の選択肢が増える中、百貨店にはどのような進化が求められているのか。株式会社松屋 銀座本店 副店長(マーケティング担当) 服部延弘氏に聞いた。

一度はストップしたOMO施策 今注力するワケ

 今年で100周年を迎えた百貨店「松屋銀座」。2024年11月に、免税購入機能を備えたオムニチャネルプラットフォームとして「matsuyaginza.com」をオープンした。実店舗の強みはそのままに、オンラインへと顧客接点を拡げる。それにより、特に海外顧客との継続的な関係を構築する考えだ。

 海外からもアクセスできるmatsuyaginza.comでは、顧客は事前に購入したい商品を予約し、店頭で受け取れる。訪日客は、購入と併せて免税手続きまで行えるため、実店舗の免税カウンターに並ぶ時間や手間を短縮できる仕組みだ。また、国内顧客は、商品の検索から購入までできる。

株式会社松屋 銀座本店 副店長(マーケティング担当) 服部延弘氏
株式会社松屋 銀座本店 副店長(マーケティング担当) 服部延弘氏

 服部氏は「訪日客の観光場所や行動は少しずつ変容する。一方で、銀座は訪れたい街として常に名前が挙がる」と語る。彼らが銀座を訪れる目的の大部分は、やはり買い物。matsuyaginza.com開設後、初の春節の時期(1月下旬~2月初旬)には、中国からのアクセス数が急増した。前月比の倍になるなど、一定の手応えがあったという。

「旅前、旅中に、オンライン上で欲しい商品をチェックし、予約する。これでお客様が時間を無駄にせず買い物できます。観光時間が限られている訪日客にとって、効率性は重要です。同サービスの需要は高いと感じています。ただし、中国では一部のウェブサイトが閲覧できません。そのため『WeChat』のミニプログラムと連携し、現地からもmatsuyaginza.comのサービスを利用できるようにしました」

 そもそも、実店舗が主戦場の松屋銀座がOMOを意識し始めたのは、EC化が急ピッチで進んだコロナ禍よりも前だ。過去に、靴などを中心に実店舗では手に入らない商品や限定品などをオンラインで販売し、店頭で手渡す試みを行ったこともある。ところが、利用した顧客からの反応は上々だったものの、2年ほどでサービスを終了した。

「当時は、まだスマートフォンでの買い物が一般的ではなかったのです。しかし、経験則からニーズはあると確信していました。その後、コロナ禍で実店舗での買い物が制限されるようになったタイミングで、デジタルの力を借りてお客様の顧客体験をより向上できないか改めて考え始めました」

 松屋銀座のデジタル戦略は、あくまでも“リアルの価値”を軸としている。「五感で楽しむのが買い物であり、オンラインチャネルは販売面積や時間といった制限を超える、リアルを補うもの」という姿勢を貫く。

「当店で販売されているような高級ブランドを、オンラインで購入するのか。そう考える人もいるかもしれません。もちろん、オンラインで検索してから店頭で確認して購入するお客様もいます。しかし、反対に店頭で見た商品を、持ち帰りの必要がないオンライン経由で後から購入する方がいるのも事実です。オンライン・オフラインを併用するお客様はロイヤルカスタマー化しやすい傾向にあります。双方のメリットを掛け合わせて、顧客体験を一歩先に進めたいです」

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“地道にやる”が近道 海外顧客向けの“オンライン外商”

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この記事の著者

清家直子(セイケ ナオコ)

フリーライター。地方新聞社で報道記者として、行政や事件報道に従事。現在は、企業オウンドメディアやビジネス系、法律関連サイトなどでインタビューを含めた情報発信を行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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