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【リアル×オンラインのハイブリッド開催】ECzine Day 2025 October (2025.10.9)

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

ヘッドレスコマースだから実現できた 「ファミマオンライン」立ち上げメンバーが語る開発経緯と今後の戦略

 株式会社ファミリーマートが、2025年3月に開設したECサイト「ファミマオンライン」。国内に約1万6,300店舗の強固なリアル接点を有する同社の新たな挑戦は、単なる“ECサイト”の開設に留まらない。ヘッドレスコマースの仕組みを採用して進める顧客接点の多角化や、デジタル推進の裏には一体どのような戦略が描かれているのか。プロジェクト推進の裏側とその挑戦の意図について、同社のデジタル事業本部 デジタル事業部部長 兼 CSO室 近藤大輔氏と、システム本部 金融・デジタルシステム部 部長 田口宏氏に話を聞いた。

ファミリーマートが「ヘッドレスコマースしかない」と考えた3つの視点とは

 ファミマオンラインは、ファミリーマートがこれまで展開してきた「ファミペイWEB予約」やギフトサービスを統合して誕生した、新たなオンライン接点だ。店舗サービスと組み合わせ、オンラインコンビニとしての機能を果たすことで、ファミリーマートらしい買い物体験の提供を実現している。

 2025年3月に運営開始した同サイトだが、起源は2021年にまでさかのぼる。2019年に誕生したアプリ「ファミペイ」や、2021年9月にサービス開始したデジタルサイネージ「FamilyMartVision」といったデジタル接点強化をさらに加速させるべく、「デジタルコマースプロジェクト」が発足。「約2年かけてeコマースに関する様々なトライアルを重ね、ローンチに向けて本格的に始動したのは、2023年3月頃だった」と近藤氏は振り返る。

株式会社ファミリーマート デジタル事業本部 デジタル事業部部長 兼 CSO室 近藤大輔氏
株式会社ファミリーマート デジタル事業本部 デジタル事業部部長 兼 CSO室 近藤大輔氏

 構想からローンチまでは2年ほど。店頭オペレーションの整備や周知をともなう案件であることを踏まえると、決して長い準備期間とはいえないだろう。それでもスピード感をもちつつ、万全を期した環境作りができた背景には、ヘッドレスコマースを実現する基盤と部門横断型のプロジェクト推進体制があったという。

「私たちは、『ファミマオンライン』の立ち上げにあたり、システムとサービスの一体化と、変化するデジタルビジネスのトレンドに適応できる環境構築を意識しました。

 『ファミマオンライン』では、食品から衣料品まで多種多様な商材を扱っています。たとえば、コンビニエンスウェアであれば、スタイリッシュな商品詳細ページを作成したいという要望が出るかもしれませんし、今後新たな商材が増える可能性もおおいにあります。それらすべてに対応できる環境を作ろうとした際に、ヘッドレスコマースの概念を取り入れるのは必然でした」(田口氏)

 自由にフロントエンドをカスタマイズできる仕組みはさることながら、ファミリーマートがフロントエンドとバックエンドを分離できるヘッドレスコマースに着目した理由は他にも存在する。それは、ビジネスの根幹の仕組みとして運用されている商品物流・店舗・会計などの基幹システムに大きく手を加えずとも、新たなビジネス構造を取り入れられる点だ。

「バックエンド連携の容易さと関連しますが、POSシステムなど、加盟店の皆様の負担ができるだけ増えないようにしながら、新たな販売方法とチャネルを増やせる点もヘッドレスコマースの大きな利点でした。トレンドに乗ったわけではなく、フロントエンド、バックエンド、既存オペレーションの3点セットで考えた際に最も適切だったのがヘッドレスコマースだったのです」(田口氏)

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新たな商流を作るからこそ意識した“縦割りにならないチーム体制”

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。2025年4月1日より、ECzine 副編集長を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/17150 2025/10/06 07:00

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