2029年度の売上目標は200億円 達成に必要な改革とは
松屋銀座は、2029年度のmatsuyaginza.comの売上目標として、200億円という大きな数字を掲げている。その実現に向けて、新たな施策を着々と準備している段階だ。具体的な構想の一つとして、服部氏は実店舗における接客力のフル活用を挙げた。
多様な顧客が訪れる松屋銀座の実店舗では、年代や性別、国籍、購入履歴に応じて、的確な商品提案が自然と行われている。同店独自のノウハウといって良いだろう。オンライン上でも、データにもとづいたパーソナライズドレコメンドを展開し、購入単価の引き上げを目指すという。
「今まさに、お客様のデータを蓄積しているところです。リアルな接客で積み上げてきた経験値に加えて、データによってどんな提案が有効なのかを検証し、“このような人には、これを提案する”といったパターンを見つけていきます」
また、同社はオンラインでもオフラインでも、足元の施策としてmatsuyaginza.comのID会員の増加に力を入れる。週末には店頭にカートを出し、メールアドレスを登録してもらうライトなキャンペーンを開始した。本店である松屋銀座だけでなく、浅草の実店舗でも実施している。
「お客様がどんな商品を買ってくださる方なのか、どの程度の頻度で来店してくださっているのかなど、一人ひとりを認識することから始めます。その上で、メールを通じて段階的に関係性を深めたいです」

オンライン上で買い物をする際、お得感といった経済性や利便性にメリットを感じる人は多いのではないだろうか。これに対して「質で満足できるような売り場に育てていきたい」と服部氏。
「リアルな接客では、『安心を提供してもらった』という感覚を得られます。同様の満足度を、matsuyaginza.comで表現できるかどうかは未知数です。それでも、機能面だけでなく“中身”で満足してもらえる売り場にしていかなければなりません」
服部氏が描く松屋銀座の未来像は「皆様の生活の中にあること」だ。
「最終的な目標は、“Global Destination”です。パリ、ニューヨーク、ロンドンといった買い物の聖地のような場所の中に、東京の松屋銀座も仲間入りしたい。『日本といえば松屋銀座』と認識してもらえる存在になれるように、進化し続けます」