デジタル接客に熱狂をかけ合わせ、BtoB取引も促進する「B印MARKET 個人商店」
ビームスではデジタル接客を実践するスタッフが多く、現在約2,000アカウントが存在する。その中でも、特に質が高いスタッフを「OSC(オムニスタイルコンサルタント)」として同社は選抜。こうした活動は対外的にも評価されており、株式会社バニッシュスタンダードが開催する令和のカリスマ店員を決める接客コンテスト「STAFF OF THE YEAR」では、ビームスのOSCが3年連続上位にランクイン。店舗で多くの顧客を抱えるベテランスタッフも、若手スタッフとコンテンツ発信面でタッグを組むことで、SNSフォロワー増やバズコンテンツの創出を実現しているという。

こうした活動と並行して、同社が2022年2月より新たに始めたのが「ビームスの太鼓判。Selected by “BEAMS”」を掲げたメディアコマースビジネス「B印MARKET」だ。同ビジネス内のコンテンツの一つである「B印MARKET 個人商店(以下、個人商店)」は、企業としてPtoCを推進する取り組みとなっている。
「個人商店を立ち上げた理由は、主に二つあります。一つ目は、スタッフが個性を発揮しながら活躍できる場をさらに増やし、個人への熱狂的ファンを増やすことです。これによってカスタマーマーケティングの強化にもつながると考えています。
二つ目は、BtoB取引の促進と新たなクライアント獲得にもつなげることです。通常のビームス店舗や自社ECではなかなか取り扱いが難しい商品も『ビームススタッフが目利きしたもの』という新機軸でストーリーや価値が生み出せれば、新たなお客様との出会いを生み出せるのではないかと考えました。これにより、BtoBのクライアントニーズを満たすこともできます。私たちがここで目指しているのは『来ればおもしろいものが必ず見つかる新たなデジタルマーケット』です」

アパレル社員が焼酎を作る!? 偏愛とキュレーション力が生み出す新たなビジネスチャンス
個人商店には「現在20名前後の商店主(スタッフ)がいる」と説明する岩城氏。活躍するスタッフの一例として、同社のメインレーベル「BEAMS」で長年バイヤーを務めてきた和田健二郎氏を紹介した。
「和田は豊富な知見と人脈に加え、ヴィンテージウェアから民芸、格闘技と幅広いジャンルに傾倒する自身の個性を生かした仕入れを執行し、見応えのある商品ラインアップをそろえています。2023年には、趣味が高じて地元・鹿児島の酒蔵とコラボレーションしたオリジナル焼酎『本格焼酎 芋SHOGUN』まで販売しています」

岩城氏は、このほかに「いつでも10km走れるコーディネート」をモットーにコンテンツを更新し、ランニング業界で様々なつながりを生み出す牧野英明氏による「牧野商店」の事例にも触れ、個人商店の仕入れから販売までの仕組みを紹介した。
「商店主は、個人商店のサイト内にキュレーション記事をアップすることができます。同記事内で、仕入れた商品の使用例や使い心地を画像・テキストで表現し発信。興味をもったお客様は、記事内のボタンからBEAMS公式サイトに遷移し、商品購入が可能となります」