すべての失敗は「双方向性を設計しなかった瞬間」から始まった
石島 中野さんは、中国でライブコマースが話題になる以前から配信に取り組まれていましたよね。
中野:はい。10年ほど前、事務所で自社ツールを作って週1回配信していました。ただ、正直言うとまったく割に合わなかった。今思えば、失敗の原因はシンプルです。ライブを“放送”にしてしまったこと。
石島 この手の失敗は正直よく目にします。「ライブ=動画広告の延長」になってしまうケースですね。
中野 そうなんです。実演販売は、相手の反応を見て話を変える仕事。双方向性がなくなった瞬間、価値は一気に落ちます。お客様の反応が見えないと、言葉を調整できないので、コロナ禍で遠隔接客をしたときも、まったく売れませんでした。
石島 Fireworkでは、コメント・リアクション・視聴行動といったデータを活用して、配信内容をブラッシュアップしていくのですが、そもそも双方向を前提に設計していないと、データも活かせないんですよね。
中野 その通りです。「動画を流せば売れる」という考え方は、もう危険だと思っています。
売れるかどうかは、配信前にほぼ決まっている
石島 中野さんの現場で毎回驚くのが、「徹底した準備」です。
中野 60分の配信なら、最低1週間は準備します。商品を使い、説明書を読み、ネガティブレビューまで全部見ます。そのため、ライブ中の「それ、使いにくくないですか?」というコメントは、むしろ歓迎です。
こうした質問に答えられるかどうかで、視聴者は「この人を信じていいか」を判断します。だから私は、本気で愛せない商品は売らないようにしています。
石島 私も「ネガティブをどう扱うか」でライブコマースの成果が大きく分かれると思っています。ネガティブコメントを「消す」「無視する」のではなく、“納得性をコンテンツに昇華できるか”が重要なんですよね。
中野 そう。ライブは説得じゃなく、納得を作る場なんです。
