Green Beans・au PAY マーケット それぞれの特徴は?
2023年に「リテールメディア元年」を迎えたといわれる日本。徐々に事例の数も増えつつあるが、自社ECとモールといったチャネルの違いや広告枠の設け方などアプローチは各社それぞれで、何が“最適解”なのか悩む方も多いのではないだろうか。
本セッションでは、まずイオンネクストが2023年7月より展開しているイオンのネット専用スーパー「Green Beans」と、モール事業としては10年以上の歴史をもつ「au PAY マーケット」それぞれの売り場・リテールメディアの特徴について触れられた。
「Green Beansは、サービス開始から1年9ヵ月(2025年3月時点)が経過したネットスーパーで、会員登録者数は約45万人以上を記録しています(同年1月時点)。配送時間は7時から23時の中から1時間単位で指定可能で、最大5万品目の商品を取り扱える点が特徴です」(イオンネクスト 藤田氏)

現在、1CFC(顧客フルフィルメントセンター)・7スポーク(中継地点)で運営をしているGreen Beansは、東京23区全域と千葉県主要都市部、神奈川県川崎市・横浜市の一部でサービス利用が可能となっている。2026年以降、東京都・埼玉県に新たなCFC2ヵ所を開設予定で、これによって東京都の西部と埼玉県などへの対象エリア拡大を見込んでいるという。
「私たちが運営しているのは、単なる“ネットスーパー”ではなく、“ネット専用スーパー”です。『End to End』をコンセプトとし、お客様、生産者、商品、サプライヤーなどをつなげて価値提供することを目指しています」(イオンネクスト 藤田氏)
対するau PAY マーケットは、日用品や食品、ファッション、インテリア、家電など様々な商材を扱う事業者が出店するモールだ。30代から50代の女性をメインターゲットとし、視聴者とコミュニケーションを図りながら商品を紹介する「ライブTV」や、資本業務提携を結ぶローソンとシナジーを発揮してPontaポイントを活用したキャンペーンを展開するなど、新しさとお得さを兼ね備えた購買体験の提供を目指している。
広告ニーズに応え、自社の成長にもつながるリテールメディア参入のメリット
そんな両社が、リテールメディアの展開を開始した理由はどこにあるのか。イオンネクスト・藤田氏は「販促支援ソリューションとしてサプライヤー向けの価値提供と顧客共創を目指すため」、auコマース&ライフ・毛利氏は「用途やニーズが異なるメーカーの広告ニーズに対応するため」と理由を説明。藤田氏は、さらにリテールメディア活用によってもたらされる効果についても言及した。
「リテールメディアの枠を設けることで、単に広告収益を獲得するだけでなく、購買の活性化も実現できます。バスケット単価が上がれば、サプライヤーの売上増への貢献に加え、得た収益を新規顧客獲得やブランディング、CRMなど、Green Beansそのものの成長につながる基盤強化に投資することが可能です。相乗効果を生む“手段”として、当社にとっては欠かせないものだといえます」(イオンネクスト 藤田氏)