スタッフのメディア化に取り組むビームス 顧客体験設計の肝は?
今回登壇した岩城氏は、店舗での販売業務を経て2010年よりビームスのEC部門に所属。EC事業の拡大をミッションとし、2018年には関西EC部門の立ち上げにも参画。現在は自社EC部門の責任者としてカスタマーエンゲージメント本部 デジタル部でビション・戦略の策定、プロジェクト管理や従業員のマネジメントを担っている。
1976年に、American Life Shop BEAMSとして原宿に6.5坪の店舗をオープンしたところから歴史が始まったビームスは、現在約30のレーベルを運営。BtoCでものを販売するだけでなく、サービスの提供や異業種協業などのプロジェクト実施、BtoBブランドの運営など、多方面に事業を展開している。
「当社は古くから公式サイトに力を入れており、2016年に当時別々に存在していた公式サイト『BEAMSオフィシャルサイト』と自社EC『BEAMS Online Shop』を統合する形でリプレイスしました。
自社EC機能も搭載した現在の『BEAMS公式サイト』は、ビームスが発信する特集やニュース、スタッフコンテンツを一つのサイトで見られる点が特徴です。『商品を購入する』という明確な目的がなくても、日々様々な情報を得られる場であることに加え、スタッフをメディア化しているところもポイントです」

スタッフのメディア化を進める上でビームスが意識しているのは、「スタッフコンテンツの充実度」だ。岩城氏は、提供しているコンテンツとして「スタイリング」「フォトログ」「ブログ」「ビデオ」の四つを挙げた。
「各コンテンツはお気に入り登録が可能で、お客様は商品やスタイリングだけでなく、ニュースや特集など、後で見返したい情報を自らまとめることができます。これらはタイムラインとして表示され、ユーザーは自身に最適化された情報を常に得られるため、パーソナライズメディア化している点も特徴です。
このようにデジタル接客を通してお客様と深くつながる新たな関係性を生みながら、当社ではこれらのコンテンツを発信する店舗や個人の売上、ファン化力なども定量的に確認しています」


こうして顧客とのエンゲージメントを高める中で、ビームスは2024年9月に会員プログラム「BEAMS CLUB」のリニューアルも実施している。
「本リニューアルは、お客様との中長期的な関係構築、ブランドロイヤリティ向上などにつながるよう、愛着・ファン度を高めていただけるような設計を行っています。ステージの判定基準にマイルを導入し、購入以外のアクションでも貯められる単年でリセットしない『行動マイル』を取り入れました。また、上位ランクを目指しやすいようステータスは月次更新にし、新たなステージも設けています」