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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

オンラインショップを伸ばす魔法の法則100選

売れていても苦しいのはなぜ? オオスミ浩子氏×運営堂 森野氏がEC運営の落とし穴を議論[前編]

なぜ売れない? その答えは「○○を理解していないから」

森野 そもそもですが、私は「オンラインショップを出せば、日本国内や世界中の人に“届く”」と考えるのが間違っていると思うんです。本来は、逆なんですよ。競合が山のように増えるので“届けられる”けど“届かない”んです。だから「売れない」が課題であれば、届いているのかを突き詰めるべきなんですが、課題を見誤って「顧客層を広げなくては」と思ってしまうという……。

 コラボも同様ですよね。現代はものにあふれていますし、コラボ自体も一般化しているので単に手を組んだだけでは売れません。そもそも、コラボは相手があって成り立つものですから、お互いに価値を与え合えるような関係性でなければ成立しないのですが、「相手の人気に乗っかりたい」という認識の方も少なくありません。

運営堂 森野誠之氏
運営堂 森野誠之氏

オオスミ 「顧客層を広げたい」という判断も、「コラボしたい」という高い願望も、突き詰めると自分たちの現在地を理解していない問題があるのかなと思います。なので、私はコンサルティングをする際、最初に自己理解を深めるよう促します。

 現在地を理解して、既に商品を購入してくれているお客様がいるのであれば、その方々がどこに価値を見出してくれたのかを言語化していく。この作業の最初に「なんで今いるお客様は商品を買ってくれたのだと思いますか?」と聞くと、8~9割方「わかりません」と返ってくるんですよね……理由がわからないのに、お客様に売ろうとしたり、社外のリソースを借りて戦略や施策を練ったりしても、当然結果にはつながりません。なので、「わからないならひとまず整理しましょう」と一旦立ち止まってもらうようにしています。

森野 私も似たようなものですね。まず「注文してくれる人の顔や姿が目に浮かびますか?」と聞いています。オンラインショップなので、お客様と会ったことはないケースも多いですが、「この時間帯に絶対買ってくれる人は、こんな生活スタイルなのではないか」といった漠然とした像は、購買データにきちんと目を通していればイメージできるはずです。

 それがわかれば話が早いんですよね。「そういったお客様と同じ属性、購買傾向がある方をグルーピングして、何か告知をしてみよう」といった案が浮かんできますから。あとは、本当に基本的な話ですが「売れ筋商品はどれですか?」とも聞きます。意外と「わからない」と返す方も多いんですよ。

オオスミ わかります。どのカテゴリーがどの程度売れているのか、どの時期にどの商品がよく注文されているかを把握せず、なんとなく押し出す商品やメッセージ訴求を決めているケースもよく目にしますね。

森野 そうすると、販売計画が立てられないんですよ。売れる時期とものがわかっていれば「2ヵ月前から仕込みをしよう」と計画を立て、施策の準備ができますが、突貫工事で切り抜けようとしてしまうんです。こちらが売れ筋を見つけるために「データをください」と依頼すると、「カートシステムの中にあるので、データ抽出に時間がかかります」といわれ、分析らしいことがほとんどできていないと明らかになるケースもあります。

 オンラインショップはお客様と売れている商品をよく知って、強みを押し出せば見合った売上はついてくるはずなので、派手なこと、新しいことをやるよりもまずは基本を徹底してやり切るのが大事です。

オオスミ 特効薬はないんですよね。本当に基本の積み重ねです。

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「広告費いくら使えますか?」に即答できますか?

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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