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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

石川森生と探る、これからのECとビジネススキルの磨き方

石川森生氏・田岡敬氏と考える小売・ECのキャリア生存戦略 チャンスを掴む人の行動・思考の共通項に迫る

 ものにあふれ、オンライン・オフラインの売り場がシームレスになる現代。あらゆる選択肢が増える中、既存の価値観にとらわれない働き方や価値創造の手段も生まれています。これまで様々な事業を興し、育ててきた石川森生氏らが立ち上げた共助組織「MAISON KAPPA」もその一つです。本連載では、石川氏が様々なプロフェッショナルに話を聞き、それぞれの成長のきっかけやそれを掴むまでの行動、身につけてきたスキルなどを紐解きます。第1回の対談相手は、ナチュラルローソン、ニトリホールディングス、エトヴォスなどで役員経験を持つ株式会社office K 代表取締役の田岡敬氏です。

今いる環境でキャリアを積むのはしんどい そう思ったら何をすべき?

石川(MAISON KAPPA) 田岡さんと出会ったのは、もう何年前でしょうか。随分前に感じますが。

田岡(office K) カンファレンスの場でしたよね。石川さんの印象を一言で表すと、「名を捨てて実を取る人」。マーケターって肩書きや流行りの手法にこだわる人も多いですが、石川さんは当時DINOS CORPORATIONであえて紙のDMを使った施策を手掛けていたのが印象的です。本当に何でもやりますよね。手段に対してフラットで、良い意味で結果にしか興味がない。「マーケターより経営者タイプだな」という印象をもっています。

株式会社office K 代表取締役 田岡敬氏
株式会社office K 代表取締役 田岡敬氏

石川 僕は社会に出て早々に「自分は会社員に向いていない」「人に細かく指示されて動く働き方が合わない」と感じてしまったんですよね。だから、自分で経営に近い判断ができる環境を早めに掴みに行くべきと考えて、キャリアプランを練ってきました。振り返ると、新卒でお世話になった会社で、最初の年から新規事業として会社の立ち上げに携われて、意思決定のレイヤーへ一気にショートカットができたのは幸運だったなと思います。

 そこからは「これからの時代は、会社以上に個としてのバリューを積み上げていくほうが良いだろう」「BtoB、BtoCのどちらも経験しているプレーヤーの価値が高まるだろう」と、都度自分に足りないものや積んでおきたい経験を言語化して、それに合致するポジションを見つけたら即行動していきました。

田岡(office K) 僕は、リクルートを31歳で辞めるまでは平社員で、その後は経営者になりたいという以外は行き当たりばったりでした。なので、石川さんのその考え方と行動力は素晴らしいと思います。パズルのピースを埋めていくようなイメージですよね。

石川 そうですね。田岡さんのキャリアは、小売・メーカーなど直近の印象が強いですが、リクルートの次にポケモンで法務部長をされていたのが、他の方にないおもしろさだと思いました。僕からすると意外さもあったのですが、ライセンスビジネスや法務の経験を積みたいなど、何らかの思惑があったのでしょうか?

田岡 ポケモンに入社したのは、商材や社風以上に当時、事業会社としておもしろいフェーズだったことが決め手でした。最初のブームから一段落して、ビジネスを再編成するタイミングだったんですよ。権利や契約関連の交渉をしながら、株式上場に向けた準備を進めていました。結局上場審査まで通したところでやめることになりましたが、多忙ながらもダイナミックな経験が積めたと振り返っても思います。また、その後にアメリカの子会社に行き、グローバルビジネスに携われたのもキャリアのターニングポイントでした。

石川 やはり、意思決定できる人と仕事ができる環境をいかに作れるかは重要ですよね。僕もベンダー時代に「コンサルティングをする側にずっといても、経営のセンスはなかなか育てられない」と気づく瞬間がありました。

 もちろん、数字軸での分析や提案力は身につきますし、それが今に生かされている部分もあります。しかし、事業を自ら回していないので、施策の実行可否を判断する権限はいつまで経っても得られないですし、社内の力関係や独特なロジックなど、マーケティング施策に作用するあらゆる要素を踏まえた上で実行可能性の見当をつける能力も身につきません。判断力を育てる際に必要な「決断」という行動が、すべてクライアント任せになってしまうんですよね。だから僕は、事業会社側に行くことにしました。

田岡 事業会社にいて、どんなに施策を立てたりKPIを精緻に組んだりしても、意思決定ができる環境や風土がなければ、得られるキャリアはほぼ同じかもしれません。経営陣のマインドセットがデジタルに適応していない場合は、啓蒙から始めて予算変更や追加予算の確保といった社内調整も必要で、これがまた大変ですから。

 しかも、デジタルマーケティングはPDCAを高速で回さなければならないため、そもそも半期に一度のペースで行われる予算策定とサイクルが合いません。期初予算は最初から変更される運命にあり、その上でPDCAサイクルを回す主旨を理解してもらう必要がありますし、それを理解してもらえない環境で成功体験を得るのは困難です。

 そのため、今いる環境だと思ったようなキャリアが築けないと思われるのであれば、「自分で意思決定できるか、意思決定できる人と仕事ができる環境を探しましょう」とお勧めしたいです。たとえば、大企業の中間管理職をやるよりは、中小企業の社長や経営層に就いたほうがキャリアのジャンプアップはしやすいです。

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キャリアは螺旋階段 ドアオープナーとわらしべ長者の考えで上っていこう

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この記事の著者

松岡 亜希(マツオカ アキ)

フリーランスのライター&エディター。出版社勤務を経て独立。雑誌、書籍、Webサイト、企業広報などさまざまな分野で活動中。● http://pubapart.com/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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