SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

ライバルが多いECモールでも輝くブランドになる方法

ECメインで年商130億円超 5人で始めた福井発の水産メーカー・伝食が語った成長の理由とこれから

 福井県敦賀市を拠点に、ズワイガニの冷凍加工食品など水産品を販売する「越前かに職人 甲羅組」を知っているだろうか。ECモールを中心に売上を伸ばしており、楽天市場で年間のベストショップを選ぶ「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」の常連だ。なぜ大きく成長できたのか、同ブランドを運営する株式会社伝食 代表取締役 田辺晃司氏に理由を聞いた。

売上の80%がEC経由 その背景には実店舗の存在

 2025年1月末に発表された「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024」。大手メーカーがランキング上位に並ぶ中、総合グランプリを受賞したのが水産品を販売する「越前かに職人 甲羅組」だ。運営元の伝食は、2011年に創業後、14年で年商130億円超に成長している。創業当時は5人だった従業員数は約250人にまで増えた。

 同社立ち上げの発起人・田辺氏は、福井県敦賀市の別の水産品メーカーで働いていたという。前職の主力事業が対面販売、飲食店運営の中、ECモールが台頭し始めた2000年頃に同氏一人でEC販売を始めた。

「EC売上は順調に伸び、いつしか実店舗を超えるようになりました。それでも、やはり既存販路で安定した収益源である実店舗が優先されます。『さらにEC運営に力を入れたい』と強く思ったのが、独立のきっかけでした」

(左)株式会社伝食 代表取締役 田辺晃司氏
(左)株式会社伝食 代表取締役 田辺晃司氏

 伝食は創業時より、自社ECサイト、ECモール、直営店で事業を展開している。田辺氏が前職で培ったノウハウがあったため、EC事業を始めるハードルは低かった。ところが、すぐに大きな壁にぶつかる。事業運営において避けられない資金繰りだ。田辺氏は「オンライン・オフラインの両チャネルがあったからこそ売上が成長した」と強調する。

「1年目で売上が急激に伸びたにもかかわらず、税理士の方に『このままでは今年中に倒産する』といわれました。EC販売の場合は、事前に仕入れた商品が購入された後に時間をおいて売上金が入ってきますよね。先行投資が必要な分、売れれば売れるほど運転資金が必要になると当時は知らなかったのです。

 直営店での販売を通じてキャッシュを得られていなければ、事業を継続できなかったと思います。最初は従業員の給料を払える保証がなく、一人で地道に運営しようと考えていましたが、4人の仲間が付いてきてくれたため、比較的スムーズに多店舗展開ができました」

 立ち上げから約5年は、EC事業と実店舗販売の売上が同程度だったが、現在は80%がEC経由だ。それでも「商売の原点は店頭の接客」と田辺氏は語る。

「実店舗では、お客様とのコミュニケーションに力を入れています。私自身、前職で接客も担当してきました。リアルの泥臭い接客をEC上でも行っていきたいです」

 自社ECサイトも存在する一方、伝食はECモールをメイン販路としている。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10など多数の売り場で販売。「出品できる場所にはできる限り出す」方針だ。全体売上のうち、半数は楽天市場経由。多数の競合他社がしのぎを削るECモールで、どのように売上を伸ばしてきたのか。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
顧客は何で商品を選ぶのか? 伝食の考える答え

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ライバルが多いECモールでも輝くブランドになる方法連載記事一覧
この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/16470 2025/03/27 07:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2025年2月4日(火)13:00~18:45

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング