ECにおける検索結果は、絞り込みよりも「並べ替え」が大事
山崎氏によれば、成功しているECサイトの多くは、検索結果として最初に表示される「標準の並び順」に力を入れているという。
「たとえば、商品によっては売れ筋順、価格順などの優先度が変わり、ユーザーの過去の購入・行動履歴も織り込んだほうがよい場合もあります。値引き率を重視したほうが有効なカテゴリーもあるでしょう。標準の並び順は、こうしたありとあらゆるマーケティング要素が盛り込まれた、各ECサイトのノウハウの結晶とも言えます」(山崎氏)
標準の並び順には「おすすめ順」や「キーワードにマッチする順」などの名前が付けられていることが多いが、売り手目線でストレートに表現すれば、「買ってくれそうな順」「売れそうな順」ということだろう。
もちろん、標準の並び順から新着順、価格順などユーザーが任意の順番にスムーズにソートできるようにする必要もある。文献の検索などにおいては、キーワードにマッチする文献が何件あるのかという「絞り込み」が重視されるが、ことECの商品検索に関しては「並べ替え」のほうがはるかに重要なのだという。
「検索結果を絞り込んだほうがより親切ですが、それよりも適切な順番で並べることが肝心です。ECサイトの場合、絞り込みは並べ替えをより速く快適に行うための準備と言っても過言ではありません」(山崎氏)
検索においてもっとも重要なのは「根本的な速さ」
最適な検索結果を出力するためには、さまざまなロジックが必要となる。とはいえ、それらを考えるのは、それほど難しいことではないと山崎氏はいう。
「商品検索は実店舗における店員との会話と同じです。問いかけの内容やそれに対してどんな提案を返すべきかは、自分がお客さんとして店頭で買い物をするときのことを思い浮かべて考えてみればよいのです。店員としての販売経験があれば、さらにいろいろなアイデアが考えられるでしょう」
ただし、膨大なアイデアを検索結果に反映するために複雑な条件を重ねていくと、処理に時間がかかるようになる。仮にベストな検索結果が得られるようになったとしても、出力までに10分待たされるような検索エンジンでは、ユーザーが完全に離脱してしまう。それでは何も出力できていないのと同じことだ。
「検索にとってもっとも重要なのは、何よりも『根本的な速さ』です。速ければ速いほど、織り込めるマーケティングアイデアも増えていきます。検索結果をどう工夫するかよりも、その前提としてまずは速さを実現しなければなりません」(山崎氏)