“バズ”からの影響が大きかったAmazon 勢いを継続するには
車やバイクのヘッドライトを販売し、着実にファン層を拡大している「HID屋」を知って いるだろうか。同ブランドを運営するトレーディングトレードは、2011年に設立し2025年で15年目を迎えた。熱狂的な車好きはもちろん、現在は車検に合格する安全性を求めて商品を購入する顧客が増加している。
「ヘッドライトは、ただ明るければ良いわけではありません。日本の車検は厳しく、合格基準に達しない部品は意外にも多いのが実状です。そのため、当社では『必ず合格』を目指して品質にはこだわり、長持ちする商品を取り揃えています。一度使用すれば、その良さを実感してもらえる自信があります。実際に口コミによる影響力も大きいです」(谷氏)

需要があるとはいえ、ターゲットとなる顧客層が狭い商材で、売上が大きく上がるのだろうか。そう疑問をもつ人もいるかもしれない。しかし、HID屋は2020年から2024年の約4年で売上が8.7倍にも伸長している。練馬陸運局の隣に実店舗をかまえている一方で、主力の販路はECサイトだ。自社ECサイトと出品している全ECモールをあわせて、全体売上の98%を占めている。
谷氏は「口コミが良い分、最初の一歩を作れるかが重要」と語る。認知拡大のために、HID屋は外部流入の増加施策とECモール、特にAmazon内の広告運用に力を入れてきた。2022年からマーケティング領域をけん引しているのが金澤氏だ。
「車好きのインフルエンサーが、YouTubeやXなどで当社の商品を紹介してくれた際、外部流入が急増しました。その中で最も影響が大きかったのがAmazonです。これをきっかけに、Amazon内でのファン創出には積極的に取り組んできました」(金澤氏)
こうしたSNS上の“バズ”の効果は一時的といえるだろう。ところが、HID屋のEC売上は安定的に拡大中だ。その背景には、商材の特徴を生かした広告運用の工夫がある。Amazonのように他社商品と比較される売り場で、どう存在感を示しているのだろうか。