BtoB-ECで成功するために押さえたい三つの向上施策
ここからは、特に重要な戦術設計とそのポイントを三つに分けて説明していく。
1. 商談数向上に向けて:営業成果と連動したマーケ指標作りとデータ設計
一つ目は、リード獲得の効果を可視化できる仕組みの構築である。ここでは、営業成果と連動したマーケティング指標作り・データ設計が特に重要となる。
そのために必要なのは、最終的な営業の売上目標から逆算して、シームレスなマーケティング指標を決定することと、営業・マーケティング組織双方が目指すべき共通言語となる「MQL」を合意することだ。この二つが成功を左右する大きな鍵となる。
2. 商談数・単価向上に向けて:リードの質や意向度合を評価する指標・ルール作り
二つ目のポイントは、獲得したリードの優先順位を明らかにし、営業活動を効率化することである。リードの質や意向度合を評価するための情報やルールを定義し、リードを定量的にスコアリングする仕掛けが必要となる。
また、MQL(営業にリードを引き渡すしきい値)を予め設けておけば、営業組織とマーケティング組織のコミュニケーションが格段にスムーズになる。
3. 勝率向上に向けて:商談に至るまでの顧客の属性・行動・興味関心情報の収集
三つ目は、顧客理解を深めることによる商談効果の最大化である。顧客の検討ステージに合わせた適切な情報を提供することでナーチャリングしながらも、企業がさらに顧客に対する理解を深耕するための顧客情報を収集する仕掛けも必要となる。
こうして、商談に至るまでに得られる顧客のあらゆる情報を営業に活用することで、顧客の問題解決に対して「刺さる提案」が可能となる。ひいては、これが受注成果の確度向上につながる。
労働人口減少時代に先手を打つ「MOps」の視点
戦術設計は、米国を中心としたグローバル企業では既に推進が進んでおり、これらを専門的に行う組織・役割として「MOps(マーケティングオペレーション)」が存在するほどである。なお、ここでいう「マーケティング」とは「営業生産性向上を目的にした(営業のための)マーケティング」だと理解してもらって構わない。
MOpsは、オペレーションを構築し管理するだけではなく、営業部門およびIT部門との架け橋としても非常に重要な役割を担う。各拠点や製品・サービスごとに分かれている営業組織をとりまとめて管理する「営業企画」のマーケティング版ともいえる。
何もMOpsのような組織作りを提案したいわけではない。また、ただでさえ忙しい中で新たなオペレーション構築やその管理にまで手が回らないということにも、日々多くのBtoB企業と接している身としては十分理解できる。ここで伝えたい大事なこととは、海外では同様の背景・課題感から戦術設計の取り組みが今日まで進んでいること、そして国内のBtoB企業においては、ほぼ取り組みがなされていないという事実である。
まずは、既存組織の中で小さくてもよいので、検討のテーブルに上げてみてはいかがだろうか。