約2年でFAX受信が半減 現場の課題をどう克服したのか
湯浅(インターファクトリー) ダンロップスポーツマーケティング様は、ゴルフクラブやテニスラケットなどを中心に、スポーツ用品を販売されています。近年は、小売店へ商品を卸売りするBtoB事業でのEC活用に力を入れていらっしゃいますが、何がきっかけだったのでしょうか。
小磯(ダンロップスポーツマーケティング) 以前は、BtoB事業の受注業務は、主にFAXや電話で対応していたのですが、2021年にECプラットフォーム「EBISUMART」を採用し、取引先様に向けたクローズドなBtoB-ECサイトを立ち上げました。当時、競合他社もBtoB-EC事業を強化する動きがあり、当社内でも受注業務のDX化の気運が高まっていたのです。

吉村(ダンロップスポーツマーケティング) BtoB-ECサイトを立ち上げるまでは、当社だけではなく、取引先様もご発注業務において課題を抱えていました。たとえば、スポーツ用品の正式名称がわからないなど、スタッフの方が発注に不慣れな場合もあります。その都度カタログから調べてFAXや電話で注文するのは、非常に手間がかかる作業です。BtoB-ECサイトでは、その場で商品を検索し、画像とともに確認した上で注文できます。直感的に項目を選択できるため、取引先様がよりスムーズに発注できるようになりました。
小磯(ダンロップスポーツマーケティング) FAXや電話での受注業務は、取引先様と当社間での正確な情報伝達が重要です。そのため、担当者には特に慎重さと正確さが問われます。それが現在は、BtoB-ECサイトの開設により、当社も取引先様も同じ画面で注文内容や配送情報の確認が可能となりました。その結果、業務環境の改善につながっています。
吉村(ダンロップスポーツマーケティング) 加えて、業務効率化の面でも、当社と取引先様の双方に良い影響がありました。当社では多種多様な商品を取り扱っており、見積もりを作成するのも一苦労です。BtoB-ECサイトなら、数多くの商品の中から該当のものを容易に検索できます。そのおかげで、見積りの作成時間を大幅に削減できました。BtoB-ECサイトの利用を促進した結果、開設時の2021年と比較して、2024年時点のFAX受信枚数は47%減少しています。
いつでも商品を閲覧して注文できる点もメリットの一つですね。取引先様の中には、遅い時間まで営業している店舗も少なくありません。BtoB-ECサイトを開設したことで、当社の業務時間外も発注が可能となり、取引先様の多様な状況に対応できる体制が整いました。
もちろん、今までのやり方を変えるのは容易ではありません。取引先様には、営業担当者の協力のもと、各店舗での説明を行いました。そのおかげで、得意先様にも理解を示していただけました。
湯浅(インターファクトリー) 当社にも、BtoB-ECに関する問い合わせが増えています。以前は問い合わせのうち30%程度でしたが、この3年で約50%にまで急増しました。需要の高まりを日々感じています。
しかし、BtoB-ECサイトは、立ち上げたものの営業部や取引先様に利用されず、放置されるケースも珍しくありません。ダンロップスポーツマーケティング様も、成果につながった今でこそBtoB-EC運営がスムーズに行えているように見えますが、立ち上げから社内への浸透までに紆余曲折がありましたよね。
小磯(ダンロップスポーツマーケティング) BtoB事業でのEC活用を推進する上で、いかに社内の協力が重要か考えさせられましたね。各部署内での理解促進は、最初にぶつかる壁だと思います。特に営業部には、メリットを理解してもらえるように丁寧なコミュニケーションを心掛けていました。結果的に、営業部の理解が深まった上で取引先様へ説明ができ、サービス開始当初からの積極的な利用につながったと思います。