合理的な“根拠”を示せるかが判断基準
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景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」。商品やサービスの品質、内容、価格などについて偽った表示を規制したり、過大な景品類の提供を防いだりすることで、消費者の適切な商品選択や事業者による自由な競争を保護する法律だ。
違反すると、不当広告による誤認の排除や再発防止策の実施などの措置命令を受ける。措置命令が出されると、消費者庁のウェブサイトで企業名と違反内容が公表される。また、課徴金制度もあり、対象商品・サービスの売上額(違反していた期間)の3%にあたる金額を納付することが命じられるケースもある。
さらに、2024年施行の法改正では、10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者による再度の違反に対して、課徴金の額を売上額の4.5%に引き上げる規定が新設された。違反を繰り返す悪質な事業者への取り締まりを強化する目的だ。
景表法のうち、広告や宣伝で気をつける必要があるのが、不当表示を禁止する規制。これは、商品の優秀性や取引条件などを実際よりも良いものだと誤認させることを禁止するもので、大きく「優良誤認表示の禁止」「有利誤認表示の禁止」「おとり広告などその他の誇大広告の禁止」の3種類に分かれる。
優良誤認表示は、商品やサービスが実際より著しく優良であると示す表示。商品の効果や品質を広告やパッケージで表現する際には注意が必要だ。記載内容について、消費者庁に合理的な根拠資料の提出を求められた場合、15日以内に提出できなかったり内容が認められなかったりすると、措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性がある。
有利誤認表示は、価格やキャンペーンなどの取引条件を、実際よりも著しく優れたものだと示す表示。キャンペーンの適用条件など、細かい部分でも実際と異なる表示をしてしまうと違反になる。優良誤認と同様に、違反すると措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性がある。
「健康食品などの広告では、1つの表現だけで景表法、薬機法、健康増進法に違反してしまう事例もあります。科学的根拠や合理性を示せないような『言い過ぎ』の表現を使わないよう留意しなければなりません」(田之上氏)