通話分析・AI活用で実現する「FAQの進化」と「オペレーターの業務効率化」
「日本では『NICE Ltd.=通話録音・分析』という印象が強いかと思いますが、『CXone』は当社が2016年に買収したinContactのソリューションとして認知度を獲得していました。そこに当社の強みである通話録音・分析やAIのテクノロジーを加えることで、他社と一線を画す機能を提供。すでにグローバルでは、コンタクトセンターのトップシェアを勝ち取ってきたと自負しています」
そう語る安藤氏の自信の背景にあるのは、ナイスジャパンが有する通話録音・分析やAIのテクノロジー、およびその活用方法だ。小売業・メーカーにおけるAI活用のトレンドは、チャットボットなどにあることも多い。しかし、「CXone」では、通話録音・分析やAIを活用してコンタクトセンターの業務を裏側から支えることで、より本質的なCXを高めていると言う。
たとえば、コンタクトセンターで一般的なリアルタイムレポートでは、入電数や対応時間などの数字で報告されるケースが多い。数値面からオペレーターの業務を観察し、改善しようというものだ。しかし、1コールあたりの目安時間が決められていても、1回の注文で追加質問が生じることは多々あり、それが新たな注文につながることも少なくない。数字だけのレポートでは、そうした時間オーバーも“非効率”とみなされ、マイナス評価とされてしまうこともある。
こうした現状について「数字の積み上げだけでコンタクトセンターの業務を判断するのはナンセンスであり、そうしたことがないように通話の中身まで分析して、本質的なCX向上のための議論を行うことが重要だ」と安藤氏は語る。「CXone」では、1回のチャット、1回の通電という分断された対応ではなく、同じ顧客とのあらゆるチャネルを通じたコミュニケーションを、顧客の動線や体験としてとらえ、さらに通話の内容まで綿密に分析。オペレーターの適切な評価はもちろん、「どのような導線が適切なのか」「どうしたら顧客満足度を高めることができるか」など、本質的な議論のための情報提供が可能となっている。
さらにAIを活用した分析によって、顧客の言葉の中から「ホットワード」を抽出し、それが何を意味しているのかを分析してレポートする機能もある。購買につながる言葉なのか、離反につながる言葉なのか、顧客の行動を予測し、対応策を考える上で大きな手がかりになるだろう。
また、そうした有用な情報を施策に反映させるナレッジマネジメントについても、「CXone」ではさまざまな実践が可能だ。たとえば、ECサイトに実装されていることが多いFAQは、事業者によっては更新頻度が月に1回未満となっているケースも散見されるが、「CXone」を活用すれば通話記録から顧客の関心や疑問をAIで抽出し、FAQの定期的な刷新を自動的に行うこともできる。
そして、通話の内容はCX向上のためだけでなく、コンタクトセンター業務の効率化にも活用される。たとえば、オペレーターの通話の中から必要な情報を適宜抽出し、必要に応じてRPAが発動。顧客が求めている商品の発送業務まで自動化することも可能だ。なお、コールセンターでは購買受付だけでなく、「ある商品のカタログを同梱して欲しい」などの要望からイレギュラーな業務も発生するが、そうした追加業務も含めてRPAでコントロールすることができる。オペレーターを単調作業から解放し、ヒューマンエラーを抑制するとともに、業務そのものの効率化も実現できるというわけだ。
さらに特筆すべき機能として安藤氏は、「オートメーションファインダー」機能を挙げた。同機能は、オペレーターのパソコンに導入することで操作ログを回収し、何度も重複して行われるタスクを発見。レポートとして可視化することができる。また、可視化されたタスクを人の判断で自動化すると決定した場合、ワンクリックでそれを実行することが可能となっている。
「こうしたコンタクトセンターの業務効率化は通常、オペレーターへのヒアリングから自動化できる業務の抽出、レポートにまとめ、システムインテグレーターと相談して自動化に至るという複数の工数を要します。そのため、コンサルティング事業者などに依頼して、相応の時間とコストを掛けて行うケースも少なくありません。しかし、当社のRPAを活用すればそうしたステップを踏まず、オペレーターの日々の通話や行動を自動的に収集・分類し、効率的に自動化の提案を行うため、時間とコストを大幅に削減することが可能となります」