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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

勝つD2C 注目ブランド大研究

マーケ組織改革を実現したヘラルボニー ブランディング×売上拡大を両立させるECチームの働きかけとは

 ブランドは、生き物のようなものだ。立ち上げから認知拡大を進め、一定の知名度や売上を獲得した後にその価値をさらにどう高めていくべきか、頭を悩ませる担当者も多くいるだろう。今回は、異彩を放つアーティストの才能を生かしたビジネスを展開し、東京・銀座への実店舗オープンや海外進出など、近年目覚ましい進化を遂げる株式会社ヘラルボニーのマーケティング組織の変遷に着目。リテール事業部に所属する海野優子氏と大屋佳世子氏に、話を聞いた。

「健全ではない」と感じていた ブランディング×セールスマーケを両立させる困難さ

 2018年に設立されたヘラルボニーは、障害のある作家が描いた個性豊かなアートを通じて、社会に新たな文化の創出を目指すクリエイティブカンパニーだ。これまで、アート作品のIPビジネスや自社ブランド「HERALBONY」の運営、他企業との共創など、様々な事業に取り組んでいる。

 同社は近年、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールを傘下にもつLVMHが設立したスタートアップ向け成長支援プログラム「LVMH Innovation Award 2024」で日本企業初のカテゴリ賞を受賞したり、岩手・盛岡に旗艦店、東京・銀座に常設店舗をオープンしたりと、ビジネスの幅を着実に拡大。そんな中、さらなるブランドの飛躍を目指すため、2024年7月よりマーケティング人材の採用や組織体制の強化に着手している。

従来は、まだまだスタートアップということもあり、お客様との関係を深めるためのブランドマーケティングと、売上拡大を目指すセールスマーケティングの双方を私を含む一つのチームで担っていましたが、『ブランド価値の向上』と『売上向上』はKPIが大きく異なりますし、様々な施策を同時に走らせなければならず、常にジレンマが生じていました。『これは健全ではないな』と感じていたので、大屋の入社はまさに渡りに船でした」(海野氏)

株式会社ヘラルボニー リテール事業部 マーケティング&コミュニケーションチーム マネージャー 海野優子氏
株式会社ヘラルボニー リテール事業部 ブランドコミュニケーションチーム マネージャー 海野優子氏

 大屋氏は、かねてよりHERALBONYの商品を頻繁に購入していた、いわゆる“ロイヤルカスタマー”だ。事業会社と代理店双方でのマーケティング経験を生かし、入社後はeコマースを含むリテール横断型のマーケティング戦略策定に加え、商品・サービス開発に役立つ定量・定性データの整備、分析、共有など、ブランドをさらに飛躍させるための業務に従事している。

「最初は“EC店長”としてオファーをいただいたのですが、入社前の面談でやりたいことを聞かれ、『HERALBONYを世の中にさらに広げるため、プロダクトとコミュニケーションにより一貫性をもたせられるようなマーケティング戦略にも将来的に携わりたい』と伝えたところ、入社時にどちらもできるようなチームが立ち上がっていて驚きました。組織課題と私のやりたいことがマッチしたとはいえ、入社直後に複数ミッションを任せてくれるとは、『人の可能性に賭けてくれる組織なんだな』と感動したのをよく覚えています」(大屋氏)

 現在、海野氏が率いるブランドコミュニケーションチームは計4名、大屋氏が率いるマーケティング&オンラインセールスチームは計3名でそれぞれのミッション達成に向けた施策に取り組んでいる。

 前者は、HERALBONYらしい独自性のあるコンテンツを用いて思想・哲学を伝え、さらなる顧客基盤拡大を実現すべく、商品・販促ビジュアルの撮影、動画・バナー制作といったブランドの見せ方のコントロールに加え、オウンドメディアやSNSの運営を実施。後者はKGIとして売上を、KPIとしてセッション数やCVRを見つつ、自社ECの企画・運営やデジタル広告運用、顧客理解を深めるためのデプスインタビューなども手がけているという。

「マーケティング用語の『AIDMA』の前半部分、『Attention(注意)』『Interest(関心)』『Desire(欲求)』をブランドコミュニケーションチームが、『Desire(欲求)』から先の『Memory(記憶)』『Action(行動)』をマーケティング&オンラインセールスチームが推進していると考えるとわかりやすいかもしれません」(海野氏)

「ありがたいことに近年加速度的に成長しているHERALBONYですが、代表の松田(崇弥氏・文登氏)はより大きな夢を描いています。両チームがタッグを組まなければその実現は困難なため、日々協力しながらそれぞれの業務を進めています」(大屋氏)

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この記事の著者

夏野 久万(ナツノ クマ)

フリーライター。制作会社などで勤務後、独立。紙媒体をはじめ、企業のオウンドメディアやビジネス系、ライフスタイル系メディア、コラム、エッセイなども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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