“両輪”戦略が成長をけん引 日本ロレアルの好循環モデル
2021年から大きく売上を伸ばし続けている日本ロレアル。代表取締役社長のジャン-ピエール・シャリトン氏は、本会の冒頭で「日本市場で強固なビジネス基盤を構築できている」と話した。

その要素として大きいのが展開ブランドの追加だ。日本のスキンケアブランド「タカミ」、韓国発のコスメブランド「3CE」などが同社の傘下に加わった。パリ本社では、2023年に「イソップ」を買収。2025年7月から日本ロレアルの仲間入りをする。
ブランドの追加とともに、オンライン戦略が同社の売上成長をけん引している。EC事業では、自社チャネル以外にも販路を拡大。Amazonでタカミなどを取り扱うほか、楽天市場と2024年11月に戦略的パートナーシップの締結にむけて合意した。また、インフルエンサーとの協業も積極的に進めている。さらに認知を拡大する方針だ。
その鍵を握る戦略として、ロレアルリュクス事業本部 事業本部長 都築誠也氏はターゲット層の拡大を挙げる。インバウンド顧客、メンズ、ベビーブーマー世代へのアプローチを強化するという。特にメンズは新市場として積極的に参入する考えを示した。
「人口が減っているにもかかわらず、美容人口が増えているのが日本市場の特徴です。ニーズや悩みが多様化しており、一人ひとりに合った商品やその使用方法がより一層求められるようになりました。AIを搭載したビューティーテックも活用しながら、こうした消費者セグメントの拡大に対応していきます」(都築氏)

強化ターゲットにあるように、インバウンドの勢いは既に戻っている。円安も追い風となった。特にラグジュアリーブランドは、この流れに乗って売上を伸ばしているのではないだろうか。
一方で、日本ロレアルのラグジュアリーブランドは、国内顧客とインバウンド顧客の売上比率がほぼ5:5となっている。都築氏は「どちらかだけに頼らないバランス型」と強調した。これと同様に、オンラインとオフラインの両チャネルもバランスを重視しているという。
「2024年度はオフラインビジネスが大きく伸びた年でした。ロレアルリュクス事業は、中国をはじめアジア圏で大きなシェアを占めています。日本に訪れる海外顧客にとってなじみのある商品も多いです。その上で、日本でしか体験できないサービスや商品の先行販売など日本で購入する理由を作っていきます。同時に、当社はEC市場でリーダー的ポジションだと考えています。国内顧客とインバウンド顧客、オンラインとオフライン、“両輪を回す”を徹底していきます」(都築氏)