成果が出るまで1年半〜3年 続けてこそ見えるもの
インバウンドが好調な昨今。以前は中国人観光客の姿が多かったが、より多様な国の人々が日本に訪れている。こうした流れを受けて、越境ECに本腰を入れているEC事業者も多いのではないだろうか。

そんな中、『越境EC&海外Webマーケティング“打ち手”大全 インバウンドを契機に世界を狙う 最強の戦略 91(できるMarketing Bible)』(インプレス/徳田祐希・中村岳人・森田尚志 著)には、こんなことが書かれている。
最初から厳しいことをいうようですが、越境ECは短期的に成果が出る取り組みではありません。成功するためには、少なくとも1年半~3年は続ける覚悟が不可欠です。(P.20)
消費傾向や商習慣が大きく異なる海外で、自社のブランドや商品のファンを創出するのは容易ではない。越境EC事業をスタートしたものの、結果が出るのを待てずに優先度が下がってしまうケースがあるのも事実だ。しかし、撤退の前に改善の余地がないか立ち止まって考えてみる必要がある。
越境ECも“第一印象”が大事 ネイティブ視点で気づく改善点
海外サイトで商品を購入する際、日本語に違和感があり不安を感じた経験はないだろうか。このような感覚は、海外の消費者も同じだ。越境ECでも“第一印象”が重要といえる。たとえば、次のようなエピソードが共有されている。
ある日本企業が制作した英語のECサイトを筆者がチェックしたところ、多くの文法ミスがあっただけでなく、過剰に大文字表記が使われていたことがありました。英語の大文字表記はネイティブからすると「大声で叫んでいる」ように見えるため、多用されていると不快に感じる人もいます。(P.69)
もちろん、翻訳ツールや生成AIによって英文のテキストを作成することは可能だ。しかし、手間をかけてでもネイティブの人に確認してもらったほうが、より自然で親しみやすさを伝えられる。こうした細かな改善が、大きな成果につながるだろう。
そのほか、本書では「注力すべきSNSはInstagram(P.83)」「越境ECサイトから卸売につなげる(P.208)」など、足元の施策から次の売上をつくるヒントまで91の戦略を解説している。海外進出を後押しする次の一手が見つかるはずだ。