ビッグデータでは見逃してしまう、意外と大事な役割への気づき
ユーザグラム導入から半年、各担当者がそれぞれに新たな気づきを得るだけでなく、見えにくかった施策の成果を可視化するなど、全社的なプロジェクトでの投資対効果が表れてきていると言う。
「しばらくご購入いただいていないお客様にお送りしていたDMのご案内が、実は有効であることがわかりました。従来はハガキに記載したキャンペーンコードの入力数で評価しており、それほど効果が高い施策ではないなと判断していたんです。しかし、ユーザグラムでデジタル上の行動を見てみると、実際は多くの方がウェブを訪れてくださっていることがわかりました。
購入につながっていない一因として、パスワードをお忘れの方がリマインドページで挫折し、離脱してしまっているからだとも判明しました。その際、情報システム部にページ改修の相談をしたのですが、お客様の行動を共有することで、担当者もお客様の気持ちになりやすく、結果として年間換算で約1万人の離脱を防止し、照会成功が2万人増加しました」(橋本さん)
ユーザグラムは部署を超えたコミュニケーションにも貢献、自発的な連携も生まれている。
「商品企画メンバーとマーケティングチームがユーザグラムを一緒に見ることで、お客様がどう商品を見ているか、なぜマーケティングチームがこのようなコミュニケーションを行っているか、相互理解を深めることができます。こうした関係部署との連携は、当初は考えていませんでしたが、ウェブ担当者がユーザグラムを使っていることが話題になり、社内の関心が高まってきました。会員向けにサービスを行っているチームとマーケティングチームも、一緒にユーザグラムを見始めています。商品やサービスの設計が思ったように進んでいるかどうかが、一緒に話し合えるようになりました。
また、ビッグデータ分析だと見逃してしまう、数字には表れにくい施策やページの役割があることもわかってきました。たとえば、あるブランドから別ブランドのサイトに遷移する際に、中間に見られるページがあるのですが、それほど意味がないのでは……と思われがちです。けれども、ユーザグラムを見ると、そのページがあるからこそ別のブランドや商品に気づいたといった動きが見えてくる。ビッグデータでは見えてこないけれど、結果の出る施策を、担当者もやる意義を感じて一緒に取り組めるようになるのがいいですね」(橋本さん)
導入から半年で、すでにユーザグラムを使いこなしているように見えるフェリシモ。今後の展望を聞いた。
「私の部署のミッションのひとつに、新規顧客獲得と育成があります。けれども、一度は買ってくださってもその後は継続してくださらない方もいます。ユーザグラムを見て、継続してくださる方とそうでない方の違いは何なのか、観察していきたいです。また、社内でさらにユーザグラムの利用者を広げ、違う視点からの気づきも教えてほしいです。そして、お客様に共通する事象を共有していけたらと考えています」(黒田さん)
「定期便という特性上、月1回のお申し込み手続きのときだけウェブサイトに訪問いただくお客様もいらっしゃいます。お買い物手続きのとき以外にもウェブサイトに訪問をいただき、売り買いを超えた関係性を深めていきたいと思っています。そういった視点でも、ユーザグラムを活用していきたいですね。
もうひとつは、カタログやダイレクトメール、そのほかの施策とからめたウェブ体験をどう作っていくかです。ユーザグラムの活用等で、ウェブサイト単体での気づきは進んできました。『このカタログが届いたから、ウェブを見た』といった、ウェブ以外の施策とからめたウェブ体験の磨き上げが、次の課題だと考えています」(橋本さん)
ユーザー1人ひとりの行動を捉える!デジタル行動観察ツール「ユーザグラム」はこちら
ウェブサイトに訪れる1人ひとりのユーザー行動を追うことで、ユーザーが離脱していたり、つまづいているポイントを把握できるので、成果が上がるUX改善の施策につながります。