あるいち施策が効くのではなく、「一連の流れ」が必要と気づく
ファッション事業部でサイト運営を担当する黒田亜由美さんも、ユーザグラムユーザーのひとりである。月1回の『定期便』と注文ごとに届く『特急便』のうち、複数ブランドのサイトを運営し、商品の品出しや特集を企画している。また、SNSを活用した新規顧客とのコミュニケーションにも取り組んでいる。
「正直なところ、以前は、ビッグデータ分析だけで十分ではないかと思っていましたが、実際にユーザグラムを使ってみると、お客様の予想外の動きをたくさん知ることができました。これまでは、ある施策を打ったらこれくらいコンバージョンがあったから、成功/失敗だったという分析で満足していたのですが、特定のお客様の行動を追うことで、どのような行動の結果、なぜコンバージョンにつながったのかを詳細に見ることができるのがいいと思いました。
たとえば、SNSコミュニケーションでのカタログ請求について。ビッグデータ分析だと広告経由の方が多いので、『カタログ無料』のバナーを作り、セグメントも切ってSNS広告で配信してみたところ、芳しい結果にはなりませんでした。ユーザグラムでお客様の動きを見ていると、単純にカタログ請求とSNS広告の相性が良いわけではなく、SNS広告からなんとなくサイトに来て『いいなぁ』と思っていただけると、結果的にカタログ請求をしていただけるという流れがあるのかなと。あるいち施策が効果的なのではなく、一連の流れが必要なのだということを学びました」
さまざまな業務を兼任し、通常のビッグデータ分析も継続している黒田さん。ユーザー軸での行動観察は単純に業務が増えた形になるが、どれくらいの頻度で行っているのだろうか。
「私の場合は、いちばんボリュームが大きい『定期便』が月1回ですから、ある程度データが貯まる2週間に一度、それまで試したいろいろな施策を検証するのに利用しています。少し変わった活用方法としては、エラーページをユーザグラムで検索し、そのページをひとつずつ潰していっている社員もいます」
このように、デジタルチームを中心に各自の業務にあわせ、ユーザグラムの利用が進んでいる。全社的にユーザグラムの導入を推進した橋本さんは、現状をどのように受け止めているのだろうか。
「導入から半年を経て、ウェブ担当者は皆、自らユーザグラムを見るようになってきています。席の近い者同士で『このデータ見た?』というような会話も生まれ、自発的な情報交換が生まれています。私が久しぶりに触ったら、『それはもうこっちの機能でやったほうが早いですよ』と、メンバーから教わったくらいです。
黒田は『定期便』の特徴がら2週間に一度の頻度ですが、もっと頻繁に見ている者も多く、施策を打った初速の段階でお客様の動きを確認し、途中で軌道修正が出るようになったとの声も聞いています。これまでは拠り所なく、『もっとこうしたほうがいいのでは』『いや、ああしたほうががいいのでは』という議論が起きていたのですが、ユーザグラムを見れば実際のお客様の動きが明確にわかりますからね」(橋本さん)
「わかりにくいなと感じたページを担当者へ共有する際に、ユーザグラムで、お客様の行動を1つひとつ遡って、一緒に体験できるのがいいですね。言葉で説明するよりも、『ほら、こういうふうにお客様も迷っている』という事実を見てもらったほうが、伝わりやすいですから」(黒田さん)