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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

事業成長に欠かせない「ファンづくり」の教科書

不完全な姿をあえて見せるべき時代に?物販消費にも入り込む「推し活」文化から現代のブランド訴求を考える

 2020年に始まったコロナ禍は、EC業界の盛り上がりを後押しした。経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2019年に6.76%だったEC化率は、2022年には9.13%と急上昇している。市場が大きくなり競争も激しくなる中、命運を分けるポイントの一つとしてファンとの関係性づくりをうたうのが、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を展開する株式会社マクアケだ。本連載では、マクアケでプロジェクト推進本部 執行役員を務める菊地凌輔氏が、「ファンとの関係性づくりの大切さやヒント」を紹介する。第3回は、消費トレンドの変遷を踏まえながら、「企業が応援される存在になるために必要なこと」について考えてみよう。

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「推し活」「エモ消費」が自己表現活動になる現代

 2021年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた「推し活」という言葉。自分が好きなものを応援したり、愛情を注いだりする活動を指し、今やミレニアル世代・Z世代の新しい価値観として定着している。彼らにとって、初対面同士の会話で「推しが何か」と会話するのは当たり前になりつつあり、「推し」が何であるかは一種の自己表現になっているといえる。

 また、最近では「推し活」といった言葉だけでなく、「うれしい」や「楽しい」「わかる(共感)」といった感情(エモーション)を得ることを目的とした消費行動、いわゆる“エモ消費”といった言葉も生まれ、新たな消費のトレンドとなっている。

 菊地氏は「こうした新たな消費の傾向は、エンタメ領域だけでなく、商品を買う際にも共通項が見える」と考えているそうだ。

「安い、便利といった機能性を中心とした価値基準は当たり前のものになっており、今はさらに一歩踏み込み、購買活動を通じて『いかに自分らしさを追求するか』が重視されるようになりつつあります」

 こうした変化の背景にあるのは、消費に対するニーズの変化だという。

負を解消すると、消費者は「自分らしさ」の表現に目がいく

 高度経済成長期は、まだ日常生活における“負”が数多く存在したため、それらを解決する手段として、冷蔵庫や洗濯機、クーラー、自動車など「文明の利器」といえるものが生まれた。それらは、技術の発展とともに高機能・高性能なものへと進化し、使用する上で不便さを感じることはほとんどなくなっている。

「昔は、生活における最低限の欲求やニーズを満たすための商品が数多く開発されてきました。ただ、その欲求やニーズが一定レベルまで満たされるようになった結果、消費者が商品に求めるのは機能性や利便性ではなく、“自分らしさ”になっているように感じます」

 購買活動における、“自分らしさ”の追求とは一体どういうことか──。ここで菊地氏は、ある友人の自動車購入検討時の思考と行動を例に挙げた。

 その友人は今までセダンに乗っていたが、二人の子どもがいることから、大きい荷物も載せられるような自動車を探していた。条件を踏まえると、大型ミニバンが選択肢に入ると予想しがちだが、友人が最終的に購入したのは、ポルシェのミッドサイズクロスオーバーSUV「マカン」だったという。なぜ、ポルシェを選んだのだろうか。

「彼は、昔からポルシェに興味があるわけではありませんでした。ただ、結婚して子どもが生まれ、世間的には幸せで安定した生活を送っているといわれる中で、人生にちょっとした冒険やスリルを求めるようになっていたようでした。

 そこに刺さったのが、マカンが掲げるキーメッセージ『Choose Thrilling. The new Macan. (人生の妥協なき挑戦者たちへ)』です。友人にとっては、マカンを購入することが“自分らしさ”の追求になりました」

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この記事の著者

新國翔大(ニイクニ ショウタ)

ライター/編集者。1991年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、U-NOTE(ユーノート)にてライティング業務に携わる。2015年5月にサムライトに入社。多数のオウンドメディアのコンテンツ制作を行う。2016年7月にBASEに入社。2017年2月よりフリーランスのライター、編集者に転向し、ウェブメディア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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