自社商品の魅力は自社が伝える
ビタミンシーエムのEC運営が軌道に乗り始めたのは、業務をインハウス化できたからこそ。編田氏は、EC運営において「他社に丸投げせず社内スタッフで回していくことが重要だ」と、改めて強調する。
「社内スタッフは、当社のような支援会社や代理店よりも商品・ブランドへの知識や想いが強いはずです。SNSのコメント対応やECサイト内の商品写真の見せ方など、社外の人間が行うよりも、より現場に近い社内スタッフが直接行ったほうが顧客に響きます。
また、スピードという点でもインハウス化は効果的です。たとえば代理店からレポートを毎月もらい追加改修の提案を受けても、実際に改修に着手するまで1ヵ月かかることもあります。その分の予算を確保するにも時間がかかり、その間にデータは古くなってしまいますよね。自らECサイトの改修やGoogle Analyticsを使った分析などができれば、やりたい施策をその場ですぐに行えます」(編田氏)。
ビタミンシーエムは、これまで行ってきたリース業だけでなく、Tokyo Apartment Storeをはじめとした販売業でも順調に成長している。その後立ち上げた&VINTAGEのECサイト構築は、外部からの支援を受けず社内で行った。
広告施策もブランドのコンセプトに合わせて、Tokyo Apartment Storeではうまくいかなかったテキスト広告の配信を検討するなど、これまでに得た知識を応用している。
さらに2023年4月1日には、高価格帯のインテリアを販売する新店舗としてSUPER VINTAGEのECサイトもオープンした。富裕層をターゲットにアート作品なども扱うため、実店舗でコンシェルジュが丁寧な商品説明をするという。
同ブランドについては、インクが事業構想や集客施策といったビジネスの上流部分の相談に乗り、ECサイト構築は社内で実施。新事業への挑戦も、徐々にインハウスで実現できる体制が整いつつある。
鵜飼氏は、「まずはこの3ブランドで安定した売上を立てられるよう育てていきたい」と語る。これからの事業拡大を意識しながらも、しっかり土台を固める段階にあることがうかがえる。
「今ある事業が成長した先には、インテリアの販売だけでなく、リース業の形態も見直して新たな展開を検討したいです。サブスクや新商材へのチャレンジも視野に、現在運営しているECサイトへの注力を考えています」(鵜飼氏)
コロナ禍で追い風を受けたEコマース。サイトをオープンしたは良いものの、結果が付いてこないという企業は少なくない。実店舗のみで事業を行ってきた企業であれば、なおさらだろう。インクのEC総合支援は、こうした企業の新たな一手となる。
「ビタミンシーエムのように、オフラインで事業に成功した企業は多くあります。しかし、現在はオンラインへの転換が不可欠な時代でしょう。これまで展開してきた商品やサービスは素晴らしいのに、オンラインへの展開で苦戦している。そんな企業への支援を、当社は今後も続けていきます。また社会貢献という意味でも、インハウス化支援を通じたデジタル人材の育成を行っていきたいです」(編田氏)