D2Cビジネスの間で高まるLINE広告の需要
LINEが創出する「つながり」を要としたマーケティングソリューションとは、どのようなものか。ユーザーが求める情報を提供し、顧客体験向上に貢献する同社のサービスと取り組みの実例が紹介された。
坪内氏は、「ECというチャネルでLINEの活用を重視する企業が増えている」と語る。実際、EC事業者のLINE広告利用は、2019年5月から2020年5月で138%に伸長し、その中にはD2C事業者も多く含まれると言う。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下でも、LINEを用いた広告活動は活発に行われ、新たにEC事業に乗り出す企業が増えたことも相まって、LINE公式アカウントの新規開設数は増加していると述べた。
また、ユーザーの利用も伸長傾向にある。2020年2月と、外出自粛要請やソーシャルディスタンスという言葉が広がり始めた同年3月のデータを比較すると、テキストやLINEスタンプの総送信頻度は29%、グループ通話の利用回数は全世代で62%も増えた。LINE内のコミュニケーション活動が活発化した影響で、「LINE NEWS」も過去最高のPVを記録した(※)。
そうした中、LINEユーザーに対し、オンラインで直接サービスを提供したり、コミュニケーションを図ったりする企業が増えている。たとえば、積水ハウスではLINEから電話やウェブミーティングで住宅相談サービスへ誘導する施策を行っており、白鶴酒造ではECで利用できるクーポンを発行し、「家飲みを楽しもう」と販売促進を行った。
坪内氏は、「新型コロナウイルス感染症拡大のような難しい状況下でも、LINEであればユーザーと直接コミュニケーションを取りやすく、ECやD2Cとの親和性も高い」と語り、理由として次の3つをあげた。
まずひとつめが、LINEが幅広いユーザー層に定着していることだ。約8,400万人(2020年3月末時点)というマスメディアと変わらぬ規模で訴求が可能で、とくに他媒体ではリーチできない層にも情報が届けられる。LINE広告を新たに活用することで、他メディアには存在しない新たな顧客を獲得できる可能性は高い。
ふたつめは、豊富なユーザー属性項目である。LINE広告では、LINE内の他サービスの行動履歴から割り出した属性データ(個人が特定できない範囲)に基づき、ターゲティングや広告効果の検証を行うことが可能だ。つまり、自社のビジネスに親和性の高いユーザーに効率的に情報を届けることができる。
そして3つめが、「友だち」としてユーザーとの「つながり」が維持できること。LINE公式アカウントでは、ユーザー1人ひとりと双方向でのコミュニケーションが可能で、信頼関係を築きやすい。マスにリーチしつつも、パーソナルなコミュニケーションができるのがLINEの最たる強みと言えるだろう。だからこそ、カスタマージャーニー上でユーザーへの自然なアプローチが可能で、購買促進につなげることができる。