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企業とユーザーの「つながり」をつくる D2Cブランドにも応用できるLINE広告活用法

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2020/07/21 11:00

 近年、EC業界において台風の目のひとつともいえるD2C(Direct to Consumer)に代表されるように、企業が顧客に製品を直接販売するだけでなく、デジタルテクノロジーを活用して顧客とコミュニケーションし、フィードバックを受けながら成長していく新しいビジネスの形が模索されている。その有力なコミュニケーションチャネルとして注目を集めるのが、国内で月間8,400万人(2020年3月末時点)が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」だ。2020年7月2日に開催された「ECzine Day 2020 Summer」で、LINE株式会社の坪内裕朗氏が語った「D2CビジネスにおけるLINE活用術」についてレポートする。

つながりによる「ライフマーケティングプラットフォーム」の構築を目指す

LINE株式会社 広告事業本部マーケットグロース事業部 坪内裕朗氏

 国内の月間アクティブユーザー数8,400万人を突破し、その86%が毎日使う(いずれの数値も2020年3月時点)という驚異的な利用率を誇るLINE。サービス開始から9年が経つが、ユーザー数はなお増加を続けている。サービス開始直後は若年層の利用が目立ったが、現在は40代以上が半数強となり、学生はもとより会社員や主婦も多い。また、ユーザーの居住地も首都圏だけでなく、地方にもまんべんなく分布し、ほぼ日本の人口比率に近くなっている。

 坪内氏は、「LINEは時代の流れやトレンドに合わせてさまざまなサービスを提供し、より便利で価値のあるプラットフォームとして進化してきました。生活のあらゆる場面をサポートする入口としてLINEを位置づけ、企業、店舗、顧客のつながりを強化するマーケティングソリューションを展開しています」と語る。

 広告事業については2019年にサービスのリデザインを行い、「LINE公式アカウント」や「LINEプロモーションスタンプ」などのコミュニケーション領域、運用型広告「LINE広告」を主軸とした広告領域、「LINEチラシ」や「LINEセールスプロモーション」など店頭販促ソリューションなどを中心とした販促・OMO領域の3カテゴリで展開している。

 また、同社は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた業種に対してもさまざまなサポートを提供している。たとえば、休校中の学校でのコミュニケーション支援を目的としたLINE公式アカウント「学校プラン」の無償提供や飲食店やドラッグストアなどの店舗での対策を支援する無償機能の提供も行った。

 坪内氏は、「こうした施策を通じ、ユーザー同士、学校と生徒・親、地方自治体と生活者、企業や事業主など、この世にはさまざまなつながりがあることを実感しました。そのつながりをつくり、守ることがLINEの使命であり、価値だと改めて考えています」と語った。

 これらの取り組みは、LINEがコーポレートミッションとして掲げる「CLOSING THE DISTANCE」と深く紐づいている。広告事業でもさまざまなマーケティングソリューションを提供し、パーソナライズされた「ライフマーケティングプラットフォーム」の構築を目指していると言う。

D2Cビジネスの間で高まるLINE広告の需要

 LINEが創出する「つながり」を要としたマーケティングソリューションとは、どのようなものか。ユーザーが求める情報を提供し、顧客体験向上に貢献する同社のサービスと取り組みの実例が紹介された。

 坪内氏は、「ECというチャネルでLINEの活用を重視する企業が増えている」と語る。実際、EC事業者のLINE広告利用は、2019年5月から2020年5月で138%に伸長し、その中にはD2C事業者も多く含まれると言う。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下でも、LINEを用いた広告活動は活発に行われ、新たにEC事業に乗り出す企業が増えたことも相まって、LINE公式アカウントの新規開設数は増加していると述べた。

 また、ユーザーの利用も伸長傾向にある。2020年2月と、外出自粛要請やソーシャルディスタンスという言葉が広がり始めた同年3月のデータを比較すると、テキストやLINEスタンプの総送信頻度は29%、グループ通話の利用回数は全世代で62%も増えた。LINE内のコミュニケーション活動が活発化した影響で、「LINE NEWS」も過去最高のPVを記録した()。

 そうした中、LINEユーザーに対し、オンラインで直接サービスを提供したり、コミュニケーションを図ったりする企業が増えている。たとえば、積水ハウスではLINEから電話やウェブミーティングで住宅相談サービスへ誘導する施策を行っており、白鶴酒造ではECで利用できるクーポンを発行し、「家飲みを楽しもう」と販売促進を行った。

 坪内氏は、「新型コロナウイルス感染症拡大のような難しい状況下でも、LINEであればユーザーと直接コミュニケーションを取りやすく、ECやD2Cとの親和性も高い」と語り、理由として次の3つをあげた。

 まずひとつめが、LINEが幅広いユーザー層に定着していることだ。約8,400万人(2020年3月末時点)というマスメディアと変わらぬ規模で訴求が可能で、とくに他媒体ではリーチできない層にも情報が届けられる。LINE広告を新たに活用することで、他メディアには存在しない新たな顧客を獲得できる可能性は高い。

 ふたつめは、豊富なユーザー属性項目である。LINE広告では、LINE内の他サービスの行動履歴から割り出した属性データ(個人が特定できない範囲)に基づき、ターゲティングや広告効果の検証を行うことが可能だ。つまり、自社のビジネスに親和性の高いユーザーに効率的に情報を届けることができる。

 そして3つめが、「友だち」としてユーザーとの「つながり」が維持できること。LINE公式アカウントでは、ユーザー1人ひとりと双方向でのコミュニケーションが可能で、信頼関係を築きやすい。マスにリーチしつつも、パーソナルなコミュニケーションができるのがLINEの最たる強みと言えるだろう。だからこそ、カスタマージャーニー上でユーザーへの自然なアプローチが可能で、購買促進につなげることができる。

LINE広告における運用効率化・効果向上のコツと成功事例

 LINE広告は、少額から配信ができる運用型広告で、LINEのトークリスト最上部やタイムラインのほか、「LINE NEWS」や「LINEマンガ」などのファミリーサービスにも広告を配信することができる。LINE公式アカウントとの連携で、友だち追加広告やターゲティング配信ができるのも強みだ。

 なお、運用型広告は入札単価の調整や運用工数が負担になるという印象を持つ人もいるが、「自動最適化配信」などを活用することで解決できることもある。自動最適化配信は、広告配信で取得したデータをもとに、機械学習によって確度の高いターゲットを自動的に判断して配信を自動で行うというもの。以前は、担当者が手動でターゲット設定を行う必要があったが、自動最適化配信を活用すれば広いターゲット層から潜在顧客を効率的に見出して設定できるようになる。

 同機能を活用する企業からは、「セグメントを絞り込みすぎないことで、効率的な広告配信ができた」と高い評価を受けている。また、坪内氏は「自動最適化配信を成功させるには、機械学習の完了に必要なデータ数を確保することが必須」と語る。その数の目安は、コンバージョン40件程度。学習前と後では、CPAがおよそ半分に改善されたこともあるそうだ。効果を上げるためには、「データを蓄積する前の広告配信停止や設定変更を行わないようにすることが大切」と坪内氏は続けた。

 なお、自動最適化配信の比率は現在、約8割にまで増加し、LINE広告の主流となりつつある。坪内氏は「同機能は常にアップデートを行っているため、以前導入していた企業も改めて活用することで、大きな成果をあげられるようになっている」と強調した。

 ターゲティングという面では、「LINEデモグラフィックデータ配信」が主流となっている。LINE広告では、年齢・性別、都道府県や市区町村、興味関心に加え、決まった地点からの半径距離指定など、よりライフスタイルに則したターゲティングが可能となっている。居住地、職場、滞在地でのセグメントもでき、さらには配偶者や子どもの有無、携帯電話のキャリアやテレビ視聴頻度、5月には新たに収入額なども設定項目に加わった。

 さらに、配信するクリエイティブにも成功の秘訣が隠されている。たとえば、パーソナライズヘアケア製品で注目されるSpartyでは、定期的にクリエイティブの訴求軸を変え、新規顧客の継続的獲得に成功。また、カルーセルや動画など新たなフォーマットにもチャレンジし、成果向上を図っている。

 LINE広告全体のクリエイティブ導入率を見ると、2019年は静止画が9割以上を占めていたが、2020年は動画が22%と増加傾向にある。動画はD2Cブランドでの利用も増加しており、LINE広告では画面占有率の高い縦長動画、視聴率の取得や配信最適化にも対応している。

「LINEユーザーは露骨な表現や虚偽表記を嫌うため、審査はとくに厳密に行っています。そのため、商品やブランドの魅力を正しく訴求することが可能です。LINE広告においてクリエイティブのインパクトは大きく、ユーザーが『自分ごと』として受け止めることができる表現にすることで、成果も向上します」(坪内氏)

 D2C事業者は、LINE広告を単なるLPやキャンペーンの入り口としてではなく、商品やサービスの魅力を訴求し、購買まで引き上げるコミュニケーションの場として活用するケースが多い。坪内氏は、「今後もD2Cのようなユーザーと直接コミュニケーションを求める事業者に対し、効果的な機能・施策を提供していく」と意気込みを語った。

獲得可能性の高い潜在層のみにアプローチ クロスターゲティング機能とは

 続いて坪内氏は、D2Cブランドにも応用できる、LINEの法人向けソリューションを横断した潜在層へのアプローチ事例を紹介した。

 まずは、ベネッセのLINE公式アカウント「ベネッセ教育情報」の事例だ。同アカウントでは、さまざまな教育関連情報が配信されている。発信した情報をタップした友だちのデータを蓄積し、該当ユーザーの属性に類似したLINEユーザーに友だち追加をうながす広告配信を行ったところ、クリック率が150%向上。ブロック率も低下したと言う。

 ここで活用しているのは「クロスターゲティング」機能だ。同機能では、LINE公式アカウントやLINEポイントADで蓄積したデータを、LINE広告の配信に活用できる。これまではサービスそれぞれのデータが独立していたが、同機能のリリースによりデータの横断的活用、LINE広告の精度向上を実現している。

 キリンビバレッジのコーヒー飲料「FIRE」では、過去アンケートで「愛飲している」「自販機での購買経験がある」と答えた人と近しい属性に広告配信することで、最大165%までクリック率を高めることができた。

 事例を踏まえ、坪内氏は「LINEは今後も企業と消費者をつなぐ架け橋として、両者にとって快適なソリューションの提供に努めます」と語り、セッションを締めくくった。

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