前回までは、顧客を獲得するフェーズである、新規広告の分野においての概略、取り組み方についてお話ししました。あくまでもご縁を始めるため、顧客に手を伸ばしてもらうために割り切って、レスポンス最大化を目指した新規獲得フェーズ。そこでキャッチしたお客様は、広告でのアクションのみで行動してもらっている段階です。広告は限られたスペースで購買に至るように工夫されていますから、コミュニケーションの量を抑制しています。当然、お客様の理解は一面的でしょう。さらにその内容を隅々まで読んで理解している人となると、極めて少数であり、当然、製品理解はまだまだの状態であることがほとんどです。製品について理解を深めてもらい、望ましい使い方で顧客に製品のポテンシャルをしっかりと引き出してもらうためには、ここからが本番なのです。
引き上げCRMと継続CRM それぞれの役割と目的とは
まずはじめに、「CRM(Customer Relationship Managemant)/顧客関係管理」の概念を整理しておきましょう。一般的に、お客様と継続的に関係性を構築する活動全般を指してCRMとして捉えられますが、こと、リピートモデルにおけるCRMにおいては、その目的と役割から2種類に大別して考えた方が合理的です。
ひとつは、広告などで新規に獲得したばかりの顧客に対して行う「引き上げCRM」です。その目的は、新たに関係性の入り口を開き、製品に対して興味が向き始めたばかりのお客様に、その製品・サービスの良さをしっかりと体感、納得してもらえるまでに理解を深めてもらうことにあります。
もうひとつは、引き上げCRMで製品やサービスへのロイヤリティーが出来上がった顧客に対して行う「継続CRM」です。すでに製品に対しては十分な理解レベルに達していますので、別の観点からアプローチしなければなりません。この段階での目的は、お客様を飽きさせず、関係性を広範に深めていくことにあります。
なお引き上げCRMでのコミュニケーションは製品への理解深耕にありますので、入り口である広告と連携します。この両者は一体として考えた方がよいでしょう。一方、継続CRMでは、目的がまるで変わってきますので、個別に設計してもよいのではないかと思います。