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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

品切れ不安から脱し1億円分の在庫を削減 インク販売の中小ECを変えたIT活用に迫る

 「インクのチップス」など、自社ECサイトやECモールで互換トナー、インクカートリッジを中心に取り扱う株式会社キュリエを知っているだろうか。ペーパーレス化で印刷の需要が減少傾向にある中、同社は複数回にわたって「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」で受賞するなど、着実に成果を上げている。その成長を加速させているのが、ITへの投資だという。同社 代表取締役 社長 吉塚康一氏に話を聞いた。

ペーパーレス化で市場は縮小 それでも利益が出せる理由

──「インクのチップス」は、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」の常連ですよね。同サイトを運営するキュリエとは、どのような企業なのですか。

吉塚 当社は、互換トナー、インクカートリッジの専門商社としてスタートしました。メイン店舗であるインクのチップスは、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトに展開しています。加えて、「ヨコハマトナー」「インクファクトリー」「エコスロバキア」の3ブランドも抱えており、それぞれECモールで商品を販売しています。

 最初にEC事業を始めたのは、2012年です。ニッチな商品ですが、10年以上EC運営を続けてきました。お客様からの信頼が得られている自信があります。2024年の売上24億円のうち、20億円がEC事業によるもの。また、全社員43人中23人がEC事業部門に所属しており、経営の重要な柱となっています。

株式会社キュリエ 代表取締役 社長 吉塚康一氏
株式会社キュリエ 代表取締役 社長 吉塚康一氏

──近年はDXの動きもあり、紙で情報を保存する機会が減ってきています。印刷に使われるインクの需要も、減少しているのではないでしょうか。

吉塚 そのとおりですが、それでも「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2024」では、「パソコン・周辺機器」ジャンルで大賞を初受賞できました。

 たしかに、各企業ではペーパーレス化が進んでいます。一般家庭でも、最近はなかなかプリンターを置いていないでしょう。一人暮らしの若年層では、年賀状を送る機会も少ないはずです。一方で、実は新しいプリンターの機種は頻繁に発売されています。その分、トナーやインクカートリッジの型番も増えているのです。

 全体の需要が減っているため、家電量販店のトナー・インクカートリッジコーナーの面積は狭まっています。新しい型番が優先的に並ぶのは、自然なことでしょう。すると、お客さまがどうしても必要になって買いに行っても、古い型番は取り寄せなければなりません。それならば、オンラインで購入しますよね。

 実店舗からEC購入の流れは、かなり強いと感じています。実際、需要の減少による大きな影響は受けていません。

──オンライン購入を検討している顧客から選ばれるには、どのような工夫が必要だとお考えですか。

吉塚 長年、専門商社としてEC販売をしてきた実績があります。それなりに知名度も上がってきましたし、レビューも蓄積されています。初めて訪れた人も、安心して購入できるのではないでしょうか。

 また、当社が取り扱う商品は価格と質のバランスが良いです。インクは、低価格な商品も多くありますが、品質の差が出やすいもの。当社では、純正品に追いつけなくても、“丁度良いコスパ”の商品を取りそろえています。一定ラインの品質を担保することで良いレビューも増え、新規顧客が購入を判断しやすくなるのです。

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3億円の在庫を2億円未満にまで圧縮 実現の裏に何があるのか

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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