第1回の連載で、事業収益の構造とその効率を測るKPIの考えかたについてお話ししました。
リピートEC/通販ビジネスの事業効率を追い求めるには、「新規集客」「リピート引き上げ」「リピート定着」。この3つが大切です。
うち、「新規集客」「リピート引き上げ」については、CPRやリピート・定期引き上げ率などにより、多くの事業者で日々効率確認に活用されていること、ただし「リピート定着」では一般的に用いることの多いLTVや回転率だけに頼るのは、危険性をはらむことに触れました。
今回はその中身を掘り下げていきます。事業構造そのものの理解と、着眼点、改善点をいかに見出していくかについて、実際の事業ではどのように対処していくべきかを見ていきましょう。
実務にKPIを用いるときに大切なこと
EC・ダイレクトビジネスの業界には、さまざまなKPIが存在しています。第1回の連載でもお話ししたとおり、たとえば新規集客効率ひとつをとっても、以下のような多数のKPIが使われています。
レスポンス率(レス率)/CVR
広告露出に対する、申し込み・受注など顧客反応の発生率。ECではバナーテキストなどの広告から購買LPへの移動はCTR(後述)として別に測り、購買LPへ移動したあとの訪問者数を母数に、発生した顧客反応をCVRとして見ることが多いため、トータルレスポンスとしては双方を合わせて効率を考える必要がある。
- 数式:申込件数÷広告出稿回数または表示回数
クリック率/CTR(Click Through Rate)
ECの広告露出に対するクリック発生率
- 数式:クリック数÷広告出稿回数または表示回数
CPO(Cost per Order)/CPR(Cost per Response)/CPA(Cost per Acquisition)
受注1件あたりの広告費用。言葉の意味では本質的にそれほど変わらないが、習慣的にCPRとCPAは資料請求やトライアルを含んだ申込数を、CPOはトライアルではなく本品、定期購入者の受注件数を指すことが多い。
- 数式:広告費総額÷申込件数
ROI(Return On Investment)/ROAS(Return On Advertising Spend)
投資したマーケティングコストによる売上比率。ROIの定義としては広告をはじめ、そのほかのコストも含むが、実態はROASと同じく広告投下総額によって発生した売上総額を測ることが多い。
- 数式:広告費総額÷申込売上(=申込件数×申込み単価)
MR(Media Ration)
基本的には上記ROASと同様。テレビやラジオなどのマスメディアでは媒体調達単価が状況で大きく変動し、レスポンス率以上に投資効率を左右するため、マスメディア系広告出稿による効率を測る指標として、従来から広告代理店を中心に用いられてきた。
上記のように、新規集客の効率ひとつとっても、さまざまな観点から効率を測るKPIが存在します。そしてどの指標も、それぞれ発生した経緯に沿った目的があります。ですので、実務に活かす際は目的を確認し、適したKPIが何であるかを考えた上で、運用することが大切です。