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ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

スーツのはるやま商事が新ブランドでカジュアルに振り切るワケ 市場縮小の中で新たな価値を生めるか

 ビジネスウェアを中心に展開するはるやま商事株式会社。人々の働き方やライフスタイルの多様化を背景に、同社のEC部門がカジュアルに振り切った新ブランドの運営に乗り出した。その現在地とこれからを、EC部 部長 高橋努氏、課長 越田耕一氏に聞く。

イメージを大きく変える挑戦 ブランドディレクターには若手女性社員を起用

 はるやま商事のEC参入は早かった。1999年、楽天市場への出店を皮切りに本格展開を開始し、2003年には自社ECサイトを開設。さらに2014年11月には、「ZOZOTOWN」への出店を開始した。現在も、自社チャネルに加えて複数のECモールを活用しながら、事業を展開している。

 同社にとってECサイトは、既存顧客の買い物の選択肢を広げ、利便性を高める場だ。それと同時に、これまで接点がなかった新規顧客へ、情報を発信するツールでもある。当初は、既存顧客のスーツを着慣れた男性によるEC利用が多かった。当時よりEC運営を手掛けてきた高橋氏は、「身長とウエストで細かくサイズ分けしていたため、EC購入でもミスマッチが起こりにくく好評だった」と振り返る。一方で、徐々に顧客層は拡大。若年層や女性の利用者も増えてきたという。

「ファッションECサイトの浸透とともに、洋服はオンラインで購入するという感覚が広まり、当社のECチャネルにも女性客が増えました。実店舗と同様に、ご家族のスーツ選びや情報収集を目的に訪れる方も多く見られます」(高橋氏)

はるやま商事株式会社 EC部 部長 高橋努氏
はるやま商事株式会社 EC部 部長 高橋努氏

 そんな中、同社は新たな試みを始めている。“レディースカジュアルブランド”の開発だ。2025年5月と6月に、それぞれ新ブランド「Muscat(マスカット)」「DIP IN CHOCOLATE(ディップインチョコレート)」を発表した。両ブランドともにフォーマル寄りのオフィスカジュアルではなく、普段着として着用できるデザインに振り切った点が大きな特徴といえる。

「元々スーツは、買い替える頻度が少ない商材です。その上、近年はスーツを着る機会自体が減っています。だからこそ、スーツを購入しない期間にも、当社の商品に触れてもらえる新たな顧客接点が必要だと感じていました」(高橋氏)

「最近では『会社の方針で、急にカジュアルスタイルが許容された』という話もよく耳にします。そこで『もうスーツ屋は必要ない』ではなく、『カジュアルスタイルまでそろう』と、引き続き選んでもらえる存在でありたいです」(越田氏)

 しかし、「ビジネスウェアの会社」として知られてきたはるやま商事が、カジュアルブランドをいきなり実店舗や自社ECサイトで展開するのは容易ではない。そこでまずは、ファッション感度の高い顧客との接点がもちやすく、検索や広告流入が期待できるZOZOTOWN内の「P.S.FA」ショップで展開をスタートした。

 同社は新ブランドの立ち上げにあたって、メインターゲットである30代女性に近い若手社員をディレクターに起用。発売から間もないが、既に好意的な反応が集まっているという。

「Muscatは30代女性のお客様が多く、ターゲット層と一致しています。日常使いしやすいデザインで、東京のカジュアルなオフィスにもなじむのではないでしょうか。DIP IN CHOCOLATEの場合は、想定より顧客層が広く、50代の女性からの反応も見られます。元々モードカジュアルが好きだった方、あるいはお子さん用に購入されている可能性も考えられます。尖ったデザインが特徴的なため、レコメンド経由で発見されるケースが多いのかもしれません」(越田氏)

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スーツと普段着をどうつなげるか 顧客と長く付き合う体験設計

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この記事の著者

山田優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川県出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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