これまで3つのフェーズにわけて、コミュニケーションの概要をお話ししてきました。今回はこれらを実務で運営していくにあたって、運用を効率化するためにはどうするのかをお伝えします。
業界をとおしてよく耳にするのが、AI、オートメーション(自動化)、RPA(Robotic Process Automation)などの言葉です。これらは、意味合いとその境界が曖昧に捉えられていることも多く混同されやすいので、まずは大きな意味の違いから確認していきましょう。
オートメーションは読んで字のごとく、何らかの作業やプロセスを「自動的に行うこと」です。知的作業もあれば、労働的な作業もあります。RPAについては、本来の定義とは異なるのですが、「知的作業のうち定型的な内容について、事前設定されたルールにしたがってオートメーションで動く」と捉えておくのが現実に沿った解釈かと思います。
とくに混乱をもたらしているのがAIではないでしょうか。AIについては「Artificial Intelligence=人工知能」の略語であることはそれなりに知られています。ではAIとはすべて「人工的」な「知能」なのでしょうか。ここでおさえておきたいのが、AIのタイプ分け、「特化型AI」と「汎用型AI」のふたつです。
「特化型AI」と「汎用型AI」の違い
特化型AIとは、人が定めたゴールに向かって、与えられたインプットから最適解を割りだし、アウトプットとして実行するというものです。自律的な成長が行われる部分は、最適解を割り出す過程において、何度もトライアンドエラーを繰り返し、より最適化する仕分けかたを学習するところにあります。ゴールそのものが変わるわけではなく、何がゴールであるかを設定するのは人です。
望ましい結果を得るためには、人の意思によって方向づけがなされ、適切かつ十分な量のインプットデータを用意する必要があります。その結果アウトプットとして、データ算出、プログラムコマンドの起動、自動車のようなアクセルやブレーキ、ハンドルといった駆動系をもっているのであれば自動走行になる、という具合です。「道具」の延長線上と捉えるのが適しているのではないでしょうか。
対して汎用型AIは、まさしく知能であり、多くの人がAIと聞いてイメージするのはこちらでしょう。
データだけでなく“考えかた”すらも自律的に考えることができ、ゴール設定が曖昧なままでも、インプットからゴール設定そのものをも最適化することができる。まさにドラえもんや鉄腕アトムの世界でイメージされるような「人工知能」です。万能ぶりに対する期待感とともに、映画『ターミネーター』の敵であるスカイネットのように、人類が遠くない将来に征服されるのではないか、という恐怖を訴える声もありますが、こちらの研究はまだまだ始まったばかりで、専門家の多くは実現には程遠いという見方をしています。
現在、世の中に出回っているAIを名乗るものは9割以上が「特化型AI」です(中には、AIエンジンの入っていない、単なるシナリオベースのオートメーションも混じっています)。ここで語るAIについては、特化型AIに絞って進めていきます。