DM単体よりもEメールとの組み合わせ
さらに、先にDMを送るのが効果的
デジタルマーケティングの技術が急速に進歩する一方で、デジタル偏重型の戦略を見直し、アナログ的な手法を組み合わせた施策に取り組む企業が増えている。セッションの冒頭で大木氏は、その背景として、オンラインでは接触できない顧客が一定数存在すること、アナログ施策がその突破口になると考えられていることなどを挙げた。
これを受けてイーリスコミュニケーションズの鈴木氏は次のように補足。
「Eメールのオプトイン率は平均30%程度で、開封率が20%程度。これらを掛け合わせた『リーチ率』はわずか6%です。90%以上に届いていないことになりますが、逆にそこを開拓できれば、それだけビジネス拡大の余地があるとも言えます」
鈴木氏は前職の日本郵便在籍時より「デジタルとアナログの融合」を訴え、ダイレクトメール(以下、DM)とEメールを組み合わせた事例の実証実験に取り組んできた。これまで10社以上の企業との実験を通じて、次のような気づきがあったという。
1)BtoB/BtoCのどちらにも共通する組み合せ効果
DMとEメールの組み合わせは、BtoB企業でもBtoC企業でも同様にリフトアップ効果がある。
2)DM単体ではなく組み合わせるのが重要
DM単体では効果が限定的。Eメールなどデジタルとの組み合わせのほうが良い結果が出る。
3)DMとEメール、先に送るのはDM
DMのほうがEメールよりも受け取った事実が記憶に残りやすく、DMのあとにフォローのEメールを送るとその開封率も上がる。さらに、DMからウェブサイトにアクセスするのが面倒な人をEメールで拾い上げる(リンクのクリックで直接アクセスできる)効果もある。ただし、Eメールだけで反応する層もいるので、現実的な落としどころとしては最初にコストの安いEメールを送り、反応しない人にはDMを、続けてフォローのEメールを送付するとよい。