株式会社ヘラルボニーは、アートの視点で経営戦略を牽引するポジションとしてCAO(Chief Art Officer)の新設と、既にアドバイザーを務める金沢21世紀美術館の黒澤浩美氏が同ポジションに就任する旨を発表した。
なお、新たにCOOとして元ランサーズの取締役 曽根秀晶氏が就任するほか、これまでCOOを務めた忍岡真理恵氏はHERALBONY EUROPEのCEOとしてフランスに赴任し、海外事業に集中する旨も併せて発表されている。
新経営体制発表の背景
「障害」のイメージを変え、 すべての人がありのままに生きる社会の実現を目指すヘラルボニーは、現在国内外の主に知的障害のある作家243名と国内54施設、海外4ヵ所の福祉施設とライセンス契約を結び、アートをIPライセンス化して多様な事業を展開。障害のある作家に正当なライセンス使用料を支払うビジネスモデルを構築している。
同社の昨年度の売上高は前年比1.63倍、作家へのライセンス使用料の年間支払額は過去3年間で15.6倍に増加。特に昨今、国内企業においてDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進が加速していることから、企業とのコラボレーションや商品開発、空間プロデュースなどといったBtoBアカウント事業の売上が前年比で1.84倍、協業企業数は年間およそ150社にまで伸長したという。
また、国内事業の堅調な推移を基盤に、同社は2024年7月にフランス・パリに子会社「HERALBONY EUROPE」を設立。アートIPライセンスを活用した現地企業との事業共創を目指し、グローバル戦略を展開している。
こうした背景を踏まえ、同社は今回の新経営体制の導入を決断。日本法人COOに曽根秀晶氏、CAOに黒澤浩美氏を抜擢することで、国内外の事業戦略と組織運営強化、アートの発掘とアートシーンでの活動のさらなる活発化を目指すという。
東京・銀座に都内初の常設店舗「HERALBONY LABORATORY GINZA」もオープン
加えて、ヘラルボニーは2025年3月15日にヘラルボニー初となる東京都内の常設店舗「HERALBONY LABORATORY GINZA」をオープンする旨も発表。来場者が作家や作品と出会うことを通じ、「障害に関する価値観が変わる」体験を提供する場として、異彩を放つ作家とともに社会の価値観の変容を目指すヘラルボニーの思想を発信する場にしたいという想いを込めて、ショップとギャラリー併設型で運営されるとのこと。