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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

海外トレンドを徹底解剖~中国編~

なぜ韓国・中国コスメは人気なのか?日本のブランドが実践すべき情報発信と越境ECのポイント

 昨今、小売店の化粧品売り場には、当たり前のように韓国・中国発のコスメが並ぶようになりました。こうした中で、日本のコスメブランドには、どのような戦略が求められるのでしょうか。一般社団法人深セン市越境EC協会日本支部代表理事 成嶋祐介氏が、中国EC市場を解説する本連載。今回は、韓国・中国のコスメブランドが実践する売り方の工夫、日本のコスメブランドが中国市場でファンを得るためのポイントを解説します。

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国内外のブランドがあふれる日本の化粧品市場

 数年前から、日本の化粧品市場で大きな存在感を示すようになった韓国コスメ。それに続き、中国コスメも急速に注目を集めています。まずは、それぞれの日本市場での売り方を比較してみましょう。

韓国コスメの強みは韓流ブームの波に乗った訴求

 K-POPや韓流ドラマが人気を得るなど、日本市場における韓国コスメの浸透の背景には、韓流ブームがあります。この流れをうまく活用している点が、韓国コスメの特徴の一つでしょう。

 たとえば、2022年に日本で販売を開始した日韓共同開発のコスメブランド「Wonjungyo」を知っていますか。同ブランドは、日本人も所属するK-POPアイドルグループ「TWICE」のメンバーの専属メイクアップアーティスト、ウォン・ジョンヨ氏が監修していることで話題を呼びました。韓流ブームをうまく活用した販売戦略で、多くのファンから支持を集めています。

  1. 発売前から実施されていた戦略的な情報公開
  2. 日本のYouTuberとのコラボレーション
  3. SNSを駆使した積極的な情報発信
  4. 一貫したブランドコンセプトの訴求
  5. 戦略的な販売チャネルの選択
  6. ECサイトにおける販促強化

 Wonjungyoは、発売前から人気アイドルをブランドミューズに起用していました。また、日本で活躍する著名なタレントやYouTuberともコラボレーションし、同ブランドの商品を使用したメイクを動画で紹介。インフルエンサーと積極的に協業しています。SNSでブランドコンセプトを一貫して訴求し、「涙袋メイクといえばWonjungyo」といったイメージを生み出しました。

 この事例からわかるように、韓国コスメはエンターテインメントとの連動と、細やかな顧客接点の創出により、日本市場で確固たる地位を築いたといえます。

中華っぽさを反映した商品デザインとSNS活用でファンが増加中の中国コスメ

 一方、中国コスメはどうでしょうか。今回は「中国メイクでナチュラルな美しさへ」をコンセプトに、アジア人女性の肌に合ったコスメを販売している「TIMAGE彩棠(以下、TIMAGE)」の事例で解説します。

 中国美学における「余白」の美意識を取り入れ、シンプルかつ効果的なメイクを提案している同ブランド。中国の伝統文化や花・自然をイメージした商品デザインなど、いたるところに“中華っぽさ”が表れています

 TIMAGEの強みはSNS戦略です。特に中国では、抖音などのプラットフォームを通じてライブコマースを積極的に行っています。中国の大規模ECセール「618(6月18日)商戦」「ダブルイレブン(独身の日)」の時期にも、ライブコマースに参加。章子怡(チャン・ツィイー)氏など、中国で数々の人気女優のメイクを手掛けるメイクアップアーティストであり、TIMAGEのブランドプロデューサーを務める唐毅(トウ・キ)氏が、自ら新商品を紹介することもあります。

 日本においても、TIMAGEの販売戦略は変わらず動画、特にショート動画を活用したインフルエンサーマーケティングです。商品の使い方など、“HOW TO”をベースにした情報発信に惹かれる消費者が多いようです。

 加えて、商品の梱包では、外装や緩衝材の一部にコーポレートカラーを反映するなど、こだわりが見られます。一目で本物かどうかわかるため、模倣品対策としても効果的です。

 こうしたブランド価値と、昨今の中華ドラマブームをはじめ中国の文化的なソフトパワーが相まって、若年層を中心に日本でも少しずつファンが増えています。

 中国コスメの台頭は、日本の消費者が中国商品にもつイメージの変化を示唆しています。「Made in China」への抵抗感が薄れ、品質への信頼が高まっているのでしょう。つまり、コスメも含めて、日本のブランドは従来の中国商品へのイメージにとらわれず、コンセプトや品質面で差別化しなければならないのです。

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この記事の著者

株式会社成島代表取締役 成嶋祐介(ナルシマ ユウスケ)

 元一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事。世界の最先端企業1800社とのネットワークを持つ中国テックビジネスのスペシャリスト。中央大学、茨城大学講師などを歴任。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。株式会社成島代表取締役。2019年から深圳市政府公認の深圳市越境EC協会日本支部の代表理事を務めた...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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