決済データは宝の山 顧客の解像度を上げる活用法とは
売上向上や新規顧客の増加を目指して、広告配信などの集客施策に注力する企業は多いだろう。しかし、ほかにもカスタマージャーニーの中で軽視してはならないものが存在する。顧客が購入の直前に必ずとおる“決済”だ。
特にオンラインでは、決済に時間がかかると離脱する顧客も珍しくない。裏を返せば、スムーズな決済体験は、ブランドへの好感を醸成するきっかけになり得る。さらに昨今は、どのような人が何をどの程度購入したのかなど、決済を通じて取得できるデータの精度が向上した。これを活用すれば、新たなアプローチ施策の検討が可能だ。
こうした状況から、太田氏は「今や、決済は顧客が買い物をするだけの機能から、マーケティングの一部となりつつある」と話す。
「AI技術が発達している今、専門知識がない人でもスムーズにデータを分析できるようになりました。そんな中で、EC領域だけでなく小売やメーカーも、自社に蓄積されたデータの可能性に着目し始めています。
ここで重要となるのが、他社と協業してビジネスを“立体的”に捉える思考です。メーカーであれば、自社が保有しているデータと小売側の購買データを掛け合わせることで、顧客ごとにパーソナライズしたクーポンを配布するなど、リテールメディア戦略を推進できます。それと同様に、決済ベンダーとともにデータを活用すれば、顧客へアプローチする施策の幅が格段に広がるでしょう」
この考えのもと、デジタルガレージグループは“決済+α”の価値創出を重視してきた。中でも、オンライン・オフラインを問わず、決済ソリューションをカスタマイズして提供しているのが、DGフィナンシャルテクノロジーだ。同社の強みは、グループリソースを組み合わせて、各社に最適な施策を提案できる点にある。
「たとえば当社グループは、株式会社カカクコムと協業体制を築いています。この協業においては、同社が運営するレストラン検索・予約サービス『食べログ』に蓄積された予約データ活用の可能性についても議論を重ねています。
グループ全体のサービスから『どの時間帯に、どのような商品が、どんな決済方法で売れているのか』を分析することで、顧客の解像度を上げ、商品のレコメンデーションや需要予測に役立てています。決済を起点にマーケティングまで支援できるのは、当社グループだからこそです」