楽天市場とAmazonの違いは? 売り場の違いを見極める
「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」をはじめ、個性的な製品で日本のビール市場に新しい風を吹かせたヤッホーブルーイング。小売店やECサイト、ビアレストランを通じて、熱いファンを創出している。掲げるミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」だ。
「日本のビール市場は、大手メーカーがシェアの大半を占めています。小売店で流通する種類も、ラガーやピルスナーがほとんどです。しかし、世界に目を向けると150を超える種類のビールが存在します。多様なビールの味を、もっと日本の方々に知ってほしいのです。それが幸せにつながると信じています」
そんなヤッホーブルーイングの知名度を押し上げたきっかけの一つが、EC事業だった。1997年、同社は楽天市場のオープンと同時に出店。当初は「開店休業」状態だったものの、地ビールブームの終焉を乗り越える起死回生の一手として、2004年から本格的にEC運営に取り組み始めた。その後も、自社ECサイトのオープンやAmazonへの出店など顧客接点を拡大している。
「スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売しているとはいえ、当社の製品を店頭で購入できない地域はまだあります。そのため、自社ECサイトやECモールも重要な販路です。特に自社ECサイトでは、ビールに合うおつまみを紹介するなど、情報発信に力を入れています」
同じECサイトでも、各チャネルにはそれぞれ違いがある。たとえば自社ECサイトには、主に「ブランドや商品をもっと知りたい」と思っている既存顧客が訪れるという。
一方のECモールでは「ビール ギフト」「ビール 飲み比べ」と検索されるケースが珍しくない。つまり「ビールは好きだが、ヤッホーブルーイングを知らない」潜在顧客が多く存在する。また、自社ECサイトよりもギフト需要が高いのも特徴だ。そこで、同社は「父の日」商戦といったイベント時に販売する限定セットを開発するなど、顧客の目にとまる企画を作り続けている。
「たとえるなら自社ECサイトは路面店、楽天市場はわくわくしながら商品を選べる百貨店、配送の速さが強みのAmazonは足りない商品をすぐに買い足せるドラッグストアです。各チャネルの特徴に合わせて、お客様へのアプローチ方法を変えています」
さらに、これらに加えて順調に売上を伸ばしているECチャネルがもう一つある。同社が2021年から出品を開始したLINEギフトだ。植野氏は「今後さらに伸びる可能性を秘めている」と語る。
「カジュアルにギフトを贈る方が増えているのでしょう。ECモールで購入されるギフトの多くは5,000円前後ですが、LINEギフトで人気なのは3,000円程度の価格帯です。お客様の細かなニーズに応えるため、予算・数量別のギフトセットをそろえるようにしています」