商品数は常時9万点以上 顧客目線での探しやすさが課題に
──ジュエリーや時計、バッグ、衣料品など主にブランド品のリユース事業を軸に実店舗を展開しているコメ兵にとって、EC事業はどのような存在なのでしょうか。
甲斐(コメ兵) 当社は、2010年頃に自社ECサイト「KOMEHYO ONLINE」を立ち上げた当初から、販売チャネルとしての機能だけではなく、今でいうOMOを重視してきました。実際、商品情報をオンライン上で確認してから希望の実店舗に取り寄せて購入するお客様は多いです。そのため、KOMEHYO ONLINEが、約160店舗(2024年9月時点)以上にのぼる実店舗への送客機能も担っています。
当社が取り扱う商品は、同じ品番でも傷の有無や色落ちの度合いなど1点ずつ状態が異なります。中古品とはいえ高額なブランド品を販売しているため、お客様が納得して購入できる環境作りが欠かせません。オンラインだけで完結させず、ときには実店舗のスタッフなど“人の力”も活用する必要があります。
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──KOMEHYO ONLINEには、多種多様な商品が並んでいます。その中から実店舗のような顧客体験を実現するために重視している施策はありますか。
甲斐(コメ兵) KOMEHYO ONLINEには、常時9万点以上の商品を掲載しています。商品数の多さは強みである一方、お客様が目的の商品に出会えないという課題にもつながりやすいです。加えて、「もし良い商品があれば購入しよう」と考えてKOMEHYO ONLINEに訪れるお客様も多く、“偶然の出会い”をオンライン上で生み出すことが重要となります。そのため、商品検索の精度向上や購入までのスムーズな導線設計には特に力を入れています。
ただし、リユース事業のEC展開では、商品情報の不足というハードルも存在します。
新品の商品は、仕様や素材、サイズ、機能など豊富な情報が揃っており、ECサイトにも掲載されています。しかし、中古品は年代や型番が古いことが多く、詳細な商品情報が不明というケースが珍しくありません。
そのような中でもお客様の意図を汲んだ検索結果を表示できるよう、当社は以前よりEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入していました。2020年のサイトリニューアルとともに、ランニングコストを抑える目的で他社ツールにリプレイスしましたが、検索機能を強化するため、2024年4月にZETA SEARCHを再導入しています。
検索エンジンの活用には、継続的なメンテナンスが不可欠といえます。そのような中で伴走しながら支援してもらえる点も、改めてZETA SEARCHを導入した理由の一つです。
大井(ZETA) ZETA SEARCHを再導入する前のKOMEHYO ONLINEでは、表記ゆれと商品サイズの絞り込みが大きな課題だとうかがっていました。こうしたリユースECならではの課題は、これまで他社様の支援を通じて解決してきた実績があったため、実際の事例をもとに提案しました。
甲斐(コメ兵) ZETA SEARCHを再導入してから、約半年ほどで検索経由のCVRが前年同月比1.1倍に向上しました。当社は高額な商品を取り扱っている、かつKOMEHYO ONLINEは検索機能を利用するお客様が多いため、検索経由のCVRが1割上昇するだけでも売上に大きく貢献します。
出張(ZETA) 検索結果の一覧ページに表示される商品を、おすすめ順に並べる施策も実施しています。たとえば「パール」と検索した際に「オパール」が検索結果の上位に表示されてしまうと、離脱につながってしまいます。ZETA SEARCHを活用すれば、「パール」が使用された商品を上位に表示可能です。今後、KOMEHYO ONLINEでさらに細かなチューニングを行うと、検索経由のCVRがますます伸びるのではないかと予想しています。
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回遊率3.3倍・CVR4.7倍を実現 効果を発揮した“ある施策”を紹介
──ZETA SEARCHの再導入と日々のチューニングにより、オンライン上の顧客体験向上を実現しているコメ兵ですが、その中で気づいた運用ポイントを教えてください。
甲斐(コメ兵) 当社のお客様は、スマートフォンでKOMEHYO ONLINEを閲覧する人が圧倒的に多いです。スマートフォンの小さい画面の中で表示される項目が多すぎると、お客様は欲しい情報を見つけづらくなり、ストレスを感じるでしょう。ストレスフリーな検索体験を実現するには、UI/UXの改善が非常に重要であり、ZETA SEARCHが必要不可欠だといえます。
出張(ZETA) 商品を見つけやすい自社ECサイトを構築するには、表示する項目の取捨選択が欠かせません。たとえば、お客様がキーワード検索をした際、画面の大部分をバナーが占めている状態では、不便に感じるのではないでしょうか。
KOMEHYO ONLINEでは、スマートフォンでも商品がより探しやすくなるように、現在デザインの最適化を進めている段階です。今後は、ざっくばらんにアイデアを出しあえる場を用意し、施策のPDCAサイクルをさらに回していきたいと考えています。
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──検索エンジンの精度に加えて、回遊性の向上も顧客と商品の出会いを創出する重要な要素だといえます。既に進めている取り組みはありますか。
甲斐(コメ兵) 新たにハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」を導入し、お客様が様々な商品と出会うきっかけを作っています。また、ZETA HASHTAGとZETA SEARCHの連携により、ハッシュタグをクリックした後にサイズやブランドを軸とした絞り込みや並び替えが可能となりました。お客様の利便性向上はもちろん、ソリューション同士のシナジー効果も期待しています。
まだ導入して間もないですが、ハッシュタグをクリックしたお客様は、そうでないお客様に比べて回遊率が3.3倍、CVRが4.7倍となり、成果が出ています。とはいえ、そもそもハッシュタグをクリックするお客様が多くないのが現状です。遷移先にさらに親和性の高いハッシュタグを出すといった工夫により、利用するお客様の割合は今より増えると思います。そして、頻繁にクリックされているハッシュタグを分析すれば、お客様の目にとまりやすいキーワードの傾向が見えてくるはずです。
出張(ZETA) SNSで日常的にハッシュタグを活用している人は、探している商品と類似した特徴のものが探せるというメリットを理解しています。これからは「ECサイト上でも活用できる」といった認識が消費者に浸透し、スタンダードになっていくのではないでしょうか。既にコメ兵様はハッシュタグを通じて回遊性向上の成果を得ていますが、まだまだ伸びしろがあると考えています。
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見えた越境ECの商機 帰国後の海外顧客とつながり続けるには
──導入フェーズを経て、UI/UXなど細かな点の改善にも目を向けているコメ兵ですが、具体的なアップデートの計画はありますか。
出張(ZETA) 当社が支援している他社様の事例には、ハッシュタグのフォントサイズを変えただけでクリック数が大幅に上昇したケースがあります。そのほかにも、表示位置やトレンドワードの出し方といった点をアップデートすることで、さらにCVRは伸びていくでしょう。
甲斐(コメ兵) 改善を積み重ねることで、どのような状況でお客様が離脱しているのか、反対にどうすれば購入していただけるのか、顧客の解像度を高めていきたいです。
大井(ZETA) 「このハッシュタグが頻繁にクリックされている」など、傾向の分析やレポーティングも行い、最適解を見つけていきます。

──こうした検索エンジンの改善とハッシュタグの活用によって、EC事業をどう育てていきたいと考えているのでしょうか。今後のコメ兵の目標を教えてください。
甲斐(コメ兵) 特に可能性を見出しているのが越境ECです。現在、当社ではインバウンドの売上比率が上昇しています。特に多い地域が、アメリカ、香港、台湾、シンガポールです。実店舗だけでなく、KOMEHYO ONLINEでも海外のお客様にとって“良い顧客体験”を提供していきたいと思っています。
既にKOMEHYO ONLINEでは多言語対応を行っており、検索やハッシュタグも英語をはじめ複数言語で表示されるようになっています。しかし、まだ一部ヒットしないキーワードが存在するのも事実のため、一つひとつ改善していきたいです。
海外のお客様は、訪日前でも訪日中でもKOMEHYO ONLINEで商品を閲覧してから実店舗に訪れる方が多く、帰国後もオンラインでつながることが可能です。これからも国内外のお客様の満足度を上げるために、ZETAは頼れるベンダーであってほしいと期待しています。
──そんなコメ兵の事業成長を、ZETAはどうサポートしていくのでしょうか。
大井(ZETA) 検索エンジンやハッシュタグ以外にも様々なソリューションを用意しています。これらを通じて、新たに生まれる課題の解決にも伴走していきたいです。
出張(ZETA) コメ兵様から「こんな施策を行いたい」と相談された際、必ず「実現できる」といえるように、今より一歩踏み込んだサポートを行っていきます。
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