BtoB企業が今、営業効率化以上に追求すべきこととは
現在、少子高齢化にともない、労働人口の減少が急激に加速している。内閣府の調査によると今後25年で1,900万人以上もの労働力人口が減少するとのことだ。また、原材料費・輸送費・人件費などの原価高騰による収益性の圧迫が急速に進行している。
そのような環境下においてBtoB取引を行う企業は、営業活動の生産性向上が求められている傾向があり、そのためには以下二つの観点で推進していくことが必要となる。
- より少ない人員で業務を遂行するための「業務効率化の実現」
- 収益を維持または向上させるための顧客に対する「体験価値の向上」
しかしながら、「効率化」「省力化」を実現することに目が行きがちで、多くのBtoB企業は2. の項目で挙げた「顧客に対する体験価値創出」には至っていないのが実態である。
これからのBtoB企業が真に目指す姿は、単に業務効率化を実現するのではなく、収益向上を見据えた営業の生産性向上が実現されていることである。
営業の選択と集中をかなえるBtoB-EC あくまで主語は○○に
では、営業の生産性向上に向けてまず何に取り組むべきなのか。それは、営業のパワーの掛け方を最適化することである。「非重点顧客」への対応は省力化し、より効率的な営業を目指す。そして効率化によって捻出したリソースを「重点顧客」に配分することでさらなる収益獲得につなげる。つまり選択と集中が必要になってくる。
そして、営業リソース配分の最適化に向けて鍵となるのが「BtoB-EC」である。
ただし、単に省力化を目的にしたECサイトの活用は、結果として顧客の離反を招く恐れがある。一例ではあるが、本来ECサイト上で体験を提供したい顧客のターゲット像を明確にしないまま、業界・属性・特性が異なる顧客に対して区別なく同じ内容の広告やメールを配信するようなコミュニケーションの取り方をよく目にする。
もちろん、こうした施策にまったく効果がないわけではない。真の問題は、短期的な効果の有無というよりも、一定数の顧客にとってはそれらのコミュニケーションが「有益な情報ではない」という評価以上に「邪魔な存在」であるという評価をされる可能性があることだ。こうした評価は、企業または製品・サービスに対するエンゲージメントを下げ、顧客自ら企業との関係を遮断してしまうことにつながる恐れがある。
特にBtoBの取引においては、製品・サービスの認知から受注に至るまでのリードタイムが長い傾向があるため、短期的・直接的な効果のみならず「中長期的な関係性を築く」ことにも重きを置く必要がある。そういったアプローチを実現するには、ECサイトを単に受注の受け皿として捉えず、受注以前の体験提供や問題解決を顧客に合った形で行う「顧客主語」の考え方が鍵となる。