上手に使えば、EC売上の2割はレコメンドから生み出せる
近年注目を集めるOne to Oneマーケティングを効率的に、かつ精度高く行うには、AIツールの活用が欠かせない。園田氏はその一例として、AIレコメンドエンジンを紹介した。
「たとえば、シルバーエッグ・テクノロジーが提供するアイジェント・レコメンダーは、店舗では日常的に行われているOne to One接客のように顧客のニーズに共感し、信頼を獲得していくまでのグッドスパイラルを、デジタルの世界に再現する目的で作られています」

園田氏は「アイジェント・レコメンダーでは、従来型の広告・CRMツールのような一方的な“仮説”と“分類”による商品の押しつけをなくし、24時間365日営業しているECサイトで安定したクオリティーの接客を提供し続ける術を考えた結果、AIレコメンドエンジンに行き着いた」と、同社の歴史を解説。ECサイトにレコメンドを入れて得られる効果として、「顧客ナビゲート」「商品理解」「新規需要創出」の三点を挙げた。
「一人ひとりのニーズを自動的に感知し、大量のコンテンツの中から最適な商品やコンテンツを提案できれば、顧客体験向上を実現できます。また、単にお勧めの商品を表示するだけでなく、閲覧経路から好まれそうなオウンドメディア記事や、購買につながる可能性が高い別カテゴリーの商品などを提案すれば、商品に対する理解度や購入モチベーション向上のきっかけになるでしょう。閲覧履歴などから潜在ニーズの高いコンテンツを予測し、新たな商品との出会いや購入促進ができれば、売上向上にもつながります」

こうしたメリットから「AIレコメンドエンジンは、単なるアップセル・クロスセルを促すツールではなく、顧客との親密度や信頼関係の向上が実現できるツール」だと説明。続いて、主なAIレコメンドエンジンで使われているアルゴリズムについて解説した。
「AIレコメンドエンジンでは、主に『属性情報ベース』と『行動情報ベース(協調フィルタリング)』の二つのアルゴリズムが用いられています。AIの性能が発揮されやすいのは後者です」
「行動情報ベース(協調フィルタリング)」の場合、類似度の高いユーザー群の行動情報を学習した後は、パーソナライズしたアドバイスが可能となる。閲覧や購買などといった行動情報は完全性や更新性が高いため、売上などの数字にもつながりやすい。シルバーエッグ・テクノロジーの支援先でも、業種によってはEC売上全体の約2割がレコメンドによって生み出されており、園田氏は「AI活用の可能性が感じられる」と強調する。
レコメンドと聞くと、オンラインチャネルでのアプローチを想起するかもしれないが、シルバーエッグ・テクノロジーでは「OMOレコメンド」と呼ばれるメニューも提供している。店舗の顧客データだけでは困難だった精度の高いレコメンドを、ECサイト側の顧客データと統合・分析することで実現。会員メールやアプリを通じて、店舗の再訪率(F2転換率)向上や、ECサイトとの相互送客が期待できるという。

レコメンドは、MAと組み合わせることでより効果を発揮する。既存のMAツールは、最適なタイミングや経路、手法でメッセージを届けることを得意としているものの、「何を出すか」について策を施しきれていない部分があった。こうした足りない部分をレコメンドで補完すれば、適切なタイミングや経路で、最適な商品をふさわしい人に提案することも夢ではない。既に実店舗のID-POSデータを取り込み、ECサイトのデータと統合した上で「次に買うべきアイテム」をパーソナライズして提案する事例も、同社には存在する。
アパレル・食品など、ECサイトでの買い物が生活に根づきつつあるカテゴリーであればなおさら、顧客が求める細かなニーズに応えるためのパーソナライゼーションや、顧客の「今の行動」を捉えた速やかな改善施策は欠かせない。それをかなえる手段の一つとしてAIを使えば、成長の鈍化を課題としていたECサイトにも新たな展望が見えてくるはずだ。園田氏は最後にこう語り、セッションを締めくくった。
「シルバーエッグ・テクノロジーは、これからもポジティブなコミュニケーションサイクルの実現に向け前進し、『良いものを届けたい』という企業の想いと『良いものに出会いたい』という消費者の想いをつないでいきます。カスタマーライフタイムバリューの最大化に取り組みたい方は、ぜひご相談ください」
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