陳腐化しないAIツールの選び方 トレンドはどう見極めるべきか
目的にコミットできるAIツールを導入する際、類似するツールや他社事例を収集した上で選定するのが一般的だが、AIは高度な業務を実行できる分、その結果に確実性がないことが課題となりがちだ。何を判断軸とすれば良いか悩む人も中にはいるだろう。
「AIのアウトプットは環境によって異なるため、特にECサイトの売上に関わるAIツールは、実環境(本番環境)でのテストが求められます。可能なかぎりA/Bテストを並行実施し、実地で試していくしかないのですが、結果が出るかわからないツールにコストをかけるのはリスクだと感じるケースもあるでしょう。無償のテスト導入を提供しているものや、AIによって売上が生まれた際に課金が発生する成果報酬型のツールを選定するのも一つの手です」
園田氏は続いて、業務にAIを導入する際の注意点を解説。「実環境での計算時間」と「変化への追従」の2点を挙げた。

「『実環境での計算時間』は、導入時に意外と考慮されないポイントですが、高度な計算を実施して予測値を導き出すには当然、ある程度の時間がかかります。これを短くすることこそアルゴリズムの本質ですが、サーバーコストがかさむ場合もあり、ECサイトで採択できないケースは多々あります」
たとえば、顧客のニーズを正確に捉えられるAIレコメンドツールを導入しても、ニーズ予測の計算に1秒、2秒と時間がかかってしまうと、スマートフォンで隙間時間にアクセスし、買い物を済ませる現代のユーザーはレコメンド商品を見ることなく離脱してしまう。「顧客に購入を促す」という目的を達成するには、単にレコメンドの精度が高ければ良いのではなく、許容可能な時間内で予測計算を行い、結果を表示できるリアルタイム性が不可欠になることは間違いない。
「精度と計算時間のバランスは非常に大切で、両立できるAIシステムを構築するにはプロの力が必須です」
「変化への追従」について、園田氏はキュウリの検品システムを例に挙げて説明した。
「画像認識AIで、曲がったキュウリを排除するシステムは簡単にできますが、『ほんの少し曲がっているキュウリこそが美しくおいしい』とトレンドが変化した場合、そのシステムの賞味期限は切れてしまいます。こうしたトレンドの変化のたびにAIのアルゴリズムを変えるのは負荷が大きいため、どんなキュウリが売れているかを随時計測し、AIが常に学習し続けるシステムを構築する視点は不可欠です」
変化に追従する仕組みがあるAIシステムは陳腐化も形骸化もせず、長期的に見れば費用対効果を高められる可能性が高い。園田氏は、AIツールを選定する際に「リアルタイム学習の重要性にも目を向けるべき」だと語った。