AIツールは「技術」ではなく「目的」から選ぼう
独自開発のパーソナライゼーション技術を用いたレコメンドエンジンを提供するシルバーエッグ・テクノロジー。同社は、創業者である代表取締役社長兼CEOのトーマス・アクイナス・フォーリー氏自身も、エンジニアとしてAIエンジン開発経験をもち、自社にデータサイエンティストを保有している点が強みだ。園田氏は「アイジェント・レコメンダー」など主力サービスの特徴を、次のように語る。
「シルバーエッグのAIサービスは、ECサイト内でよく見る“あなたへのおすすめ”を表示するだけではありません。One to Oneのコミュニケーション精度を高めることで、カスタマージャーニー全般の最適化に貢献しています」

人間のように学習、推論を行い、問題を解決するAIは多様化し、機能が細分化されてきた。しかし、園田氏は「分類はあまり意味をなさない」と説明する。その理由は、同じ目的でも使われているアルゴリズムが異なったり、目的が違っても応用的に同様のアルゴリズムが使われていたりといったケースがあるからだ。また、要望をかなえるAIツールが、複数のAI技術の集合体であることも多いという。
「生成AI、画像認識AIなど、技術から選ぶことはお勧めしません。自社の課題と向き合い、解決するために必要なAIは何なのか、突き詰めて考えた上で要望に合った機能やアルゴリズムが搭載されたAIツールを選ぶべきです」

ECサイトに求められるAIの究極の目的として、園田氏は「売上を上げる」「コストを下げる」の二つを挙げた上で、「このどちらにもコミットできないAIは、採用する意味がない」と断言。これらの目的に、AIの特徴となる「学習能力」「自動化と効率化」「柔軟性」「予測能力」がどう寄与できるか。これが「価値判断の分かれ目になる」と補足した。