4段階に分けられる成熟度 自社はどこに位置する?
グロースマーケティングへシフトするにしても、具体的にどう取り組めば良いのだろうか。ここで東野氏は「一朝一夕に進むものではなく、一発逆転ホームランは困難だが、4段階に分けて1つずつ山の頂上を目指していくと良い」とアドバイスした。
顧客コミュニケーションの粒度や活用するチャネルによって分けられているステップだが、何をすればレベルアップが可能なのか。東野氏は、次のように続ける。
「『レベル1』で取り組むべきは、購買データと配信ツールの連携です。購買結果に基づいたコンテンツ配信を行うには、データ連携が必須となります。
『レベル2』で最も重要なのは、連携したデータを土台としたセグメント作成です。これらを経た上で、『レベル3』ではメールだけでなくLINEやアプリのプッシュ通知、SNSなど配信チャネルを増やし、顧客1人ひとりが最適なチャネルを選択できる体制を整えていきます。そして、顧客にとって最適なチャネルの中でコンテンツをパーソナライズしていくのが『レベル4』です。ここまでできれば、理想の顧客コミュニケーションが実現できます」(東野氏)
ところが、こうしたステップの「あるべき姿」を理解していても、「人が足りない」「スキルが足りない」「IT部門・ベンダーに任せていて手が入れられない」といった課題に直面する事業者が多く存在するのも事実だ。それらに対して、東野氏はこうアドバイスした。
「グロースマーケティングでステップアップするには、『データ×テクノロジー×UX』で壁を乗り越える方法がおすすめです。まずは、データ加工ができる専用ツールを使ってセグメントの作成を行う。配信チャネルを増やせば、手作業で複数コンテンツを作成・配信するのが難しくなるため、オートメーションツールを入れる。といったように、配信の高度化とともに自動化、効率化を進めていきましょう。
配信のパーソナライズを行う際には、レコメンドエンジンの活用がおすすめです。顧客1人ひとりに最適化したコンテンツを事業者が手動で作成するのは大変ですが、レコメンドエンジンを導入していれば顧客の動向を踏まえた商品画像や説明文を自動で出し分けてくれます」(東野氏)