Brazeで実現するエンゲージメント向上 施策実行までの具体的なステップ
セッション後半では、廣川氏からBrazeの具体的な操作方法が説明された。
顧客情報の掛け合わせでより緻密化されたメッセージ配信へ
Brazeのデータベースには、例として次のような顧客情報が蓄積される。
- 年齢や性別といった属性、連絡先などのプロフィール情報
- お気に入り登録しているアイテムやブランド情報
- 購入情報
- 顧客の行動情報
- 保有しているポイント情報
「顧客情報の掛け合わせが、より精緻化されたメッセージにつながる」と廣川氏は言う。メッセージに対する顧客の反応は、リアルタイムでデータベースに反映。顧客の反応に合わせて、次のコミュニケーションにおける条件分岐や開封時のアプローチが決まる。
データを基にターゲットを絞り込む段階では、画面上のクリック操作で設定が完結する。ここにも、Brazeの強みがあると廣川氏は補足した。
「年代や性別などの条件を選ぶごとに、到達可能なユーザー数がリアルタイムで表示されます。ターゲットの対象者数に応じて条件を厳しく設定したり、逆に条件を緩めて対象を広げたりと、トライアンドエラーを重ねることができるUIです」(廣川氏)
OMO施策実施に向けた5つのステップ
廣川氏は、前出のユースケース1を取り上げ、デモンストレーションを実施。ここでは、紹介された5つのステップを解説する。
ステップ1
「顧客にどのような状態になってほしいか」という、コンバージョンポイントを設定する。ユースケース1の場合、「購入」がコンバージョンポイントとなるが、複数設置することも可能だ。たとえば、「店舗に何人送客できたか」といった中間指標をコンバージョンポイントとして追加し、数字を追うこともできる。
ステップ2
どのタイミングでシナリオを発動させるかを設定する。発動のトリガーは次の3つから選ぶことができる。
- スケジュールベース:定期的な配信など、特定の日時によって発動
- APIトリガー:在庫情報の変動や新しい記事の公開など、情報ごとにAPIをリクエストすることで発動
- アクションベース:ユーザーの行動に基づいて発動
ジオフェンス機能を用いて、店舗の場所を起点に「半径何メートル以内」といった設定を行うユースケース1は、3つめの「アクションベース」に当たる。
ステップ3
同ステップでは、細かいセグメントの絞り込みを行う。ここで注意すべきは、シナリオを強制終了する条件の設定だ。ユースケース1では、ユーザーがエリアの範囲外に出たらシナリオを終了するように設定。これにより、ジオフェンス機能で設定したエリア外の顧客へ店舗情報を送るといった、ミスコミュニケーションを防ぐ。
ステップ4
ここで行うのは、送信設定だ。とくに重要なのは1日もしくは週に何通以下といった、頻度の調整である。頻度を調整することで、顧客にとってノイズとなる得る過度な接触を避けることができる。
ステップ5
「キャンバスの作成」で、実際のシナリオを登録する。メールやプッシュ通知、アプリ内でポップアップを表示するなど、実行したいシナリオをドラッグアンドドロップで設定。「メッセージの文面に顧客の名前を表示する」「お気に入りアイテムの情報や在庫情報をメッセージに反映する」といった細かい設定もここで行うことができる。
メッセージの送信後は、必ずしもすべての顧客が開封するとは限らない。そこで、メッセージの配信後に行いたいのが、分岐条件の設定だ。「入店済みの顧客」「開封済だが未入店の顧客」「そのほか」など、グループを分けておくことでユーザーを自動的に振り分け、それぞれに設定したシナリオが実行される。シナリオとしては、「来店した顧客に対して当日その場で使えるクーポンを配布する」などのアクションが、例として挙げられる。
なお、既存スクリプトを適用すれば、クーポンにScratchで作ったアニメーションを追加するといった仕掛けも可能だ。実際に、クーポンでは文章のみの配布に比べ、アニメーションなどの仕掛けを加えたほうが、使用率が3倍になった事例もあるとのこと。
廣川氏は最後に、「シナリオを設定して満足してしまうのは、非常にもったいない」と施策実行後の分析の大切さを説明。「Brazeでは、実行した施策の結果をレポートとして評価する仕組みも持ち合わせています。コンバージョンにつながった施策を可視化して、場合によってはA/Bテストへの発展も考えられるでしょう。勝ちパターンを見出すためのPDCAサイクルを、簡単に回せる仕組みがBrazeにはあります」と付け加え、セッションを終えた。