リアルタイムなアプローチが差をつける ユースケースから見る活用術
Brazeは、メールやモバイルプッシュ、アプリ内メッセージ、SMSなど複数のチャネルをまたいで効果的にメッセージを配信、顧客とのエンゲージメント向上に貢献するソリューションだ。昨年Brazeから配信されたメッセージ数は1.5兆にのぼり、それらをほぼ100%止まることなく処理している。
「Brazeの目指すところは、ヒューマンコネクションという温かみのあるエンゲージメントです。従来のエンゲージメント構築ツールでは、企業が顧客に伝えたいことを一方的に送り続けるケースが多く見受けられました。Brazeでは、顧客へ多角的にアプローチできるチャネルやタッチポイントを備えており、メッセージに対する反応やアプリの利用状況などから、適切な内容やタイミング、チャネルを選択することができます」(上村氏)
Brazeの役割は「顧客に耳を傾ける」「顧客を理解する」「顧客と対話する」の大きく3つだ。その中でも、次の図のような5階層に分けられたフローを通じて、メッセージを配信する。
「最上部に位置する『データ取り込み』では、顧客の属性や行動情報の取り込みに加え、外部の倉庫情報や公開されている気象情報も参照されます。ロゴが表示されているように、データウェアハウスやクラウドストレージ、CDPなどとの連携も可能です。
データを取り込んだあとは、ステータスや状況に応じてセグメントを作る『セグメント化』、メッセージの頻度や配信のタイミングなど細かい設定をする『オーケストレーション』へとフローが続きます。
そして、メッセージの内容やチャネル、タイミングの『パーソナライズ化』を経て、メッセージを配信する『アクション』が行われるという流れです」(上村氏)
「データ取り込み」から「アクション」に至るまで、処理にかかる時間は約1秒。配信されたメッセージに対する顧客の反応や結果は、リアルタイムでBraze内にフィードバックされ、情報が常に更新される仕組みだ。この仕組みが、タイムラグによるミスコミュニケーションの防止にもつながると言う。
Brazeの基本的な仕組みに続けて、上村氏はBrazeの特徴的な機能である「ジオフェンス機能」と「コネクテッドコンテント機能」を紹介した。
「ジオフェンス機能は、設定した特定のエリア内にいる顧客に向けてメッセージを配信する機能です。モバイルアプリから位置情報を取得し、リアルタイムでメッセージを配信できます。これにより、店舗の半径200m以内にいる顧客に対してプッシュ通知を配信するといったことが可能になります。
また、コネクテッドコンテクスト機能では、メッセージを送る瞬間に外部情報へアクセスし、送る内容をパーソナライズ化します。たとえば、ユーザーがお気に入り登録している商品の在庫情報を確認し、在庫数が残り少ない場合には『お急ぎください』といったメッセージを送ることができます。位置情報や天気情報に合わせてメッセージの内容を変更することも可能です」(上村氏)
とくに位置を指定してメッセージを配信するジオフェンス機能では、顧客の動きを逐一把握しておく必要がある。上村氏は「Brazeの性能だからこそ、リアルタイムで動きを把握することができる」と強調。このふたつを含めたBrazeの機能を、実際にどう活用できるのか、ユースケースを用いてより詳細な活用イメージを提示した。
ユースケース1:アパレル企業における店舗への来店促進
たとえばアパレル企業では、顧客がどんな商品を閲覧・購入したかを参照し、興味関心に合わせてメッセージ内容をカスタムするといった使いかたができる。店舗への来店を促す際には、店舗ごとのキャンペーンやタイムセールなどのお知らせを配信するとより有効だ。
店舗付近にいる顧客に対象を絞り、リアルタイムで顧客の行動に合ったメッセージを配信。コミュニケーションのミスマッチを防ぐため、店舗に商品の在庫がある場合に絞って配信するといった制御の検討も必要となる。
ユースケース2:レストランにおけるピーク時の混雑緩和
顧客によるこれまでの利用状況を蓄積、来店傾向を分析するBrazeは、リテール・EC企業以外でも活用の幅が広い。
ユースケース2のレストランの場合、お昼時に来店数が増加し混雑のピークを迎えると予想できる。そのため、混雑を避けてスムーズなオペレーションを実現するための施策を提案する。
たとえば、これまでの来店時間にばらつきがある顧客へ、お昼時を避けた14時から15時の間のみ使えるクーポンを配布しピークを分散。店舗のオペレーション負荷を軽減させるといった施策が考えられる。同様のメッセージを、送客したい店舗だけに絞って送るという使いかたも可能だ。