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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

ワコールが“下着屋っぽくない”店舗で仕掛ける新OMO戦略 ECとの併用を促すコミュニケーション術とは

 女性用下着で親しまれている株式会社ワコールが、2025年4月に自社ECサイトとの連携を起点にしたOMO型店舗をオープンした。ECコンテンツの活用などにより、若年層、カップル、ファミリー客との接点強化を図る。以前より、実店舗のデジタル化に取り組んできた同社。オンラインとオフラインの連携に改めて注力する背景には、何があるのか。SCM本部 D2C統括部 D2C戦略課 課長 木村圭佑氏が語った。

新たなイメージを作りたい “同社初”が必要だったワケ

 1946年に創業し、80年近い歴史をもつ下着メーカー・ワコール。男性でも街中で実店舗を見かけたことがあるだろう。既に国内で一定の認知を得ているように見える。ところが、木村氏は「ブランディング、知名度の面で課題があった」と話す。

「ありがたいことに40代以降のお客様は多い一方で、まだまだ若年層には十分に浸透していません。特に20代には、アプローチの余地が残されています」

株式会社ワコール SCM本部 D2C統括部 D2C戦略課 課長 木村圭佑氏
株式会社ワコール SCM本部 D2C統括部 D2C戦略課 課長 木村圭佑氏

 昨今は、選別消費に対する意識の高まりからか、買い物において下着の優先順位が下がっているという。そんな中でも自社の下着を手に取ってもらう。そのために、同社は近年、主力ブランド「ワコール」のリブランディングや組織改革に力を入れてきた。

 そして、2025年4月に自社ECサイト「ワコールウェブストア」との連携を軸に新たな試みとして誕生したのがOMO型店舗「WACOAL is(ワコールイズ)」だ。愛知県にある商業施設「ららぽーと安城」にオープンした。同店舗で目指す売り場を、木村氏はこう語る。

「そもそも下着屋は入りづらい側面があります。商材の特徴から、クローズドな印象を持たれやすいのです。接客の圧が強いのではないかと、不安に思う方も少なくありません。だからこそ、お客様が緊張しない空間を作りたい。新たなワコールのイメージを発信するためにも、既存店のリニューアルではなく、まったく新しい実店舗を構えることにしました

 ワコールでは、全国27店舗に3Dボディスキャンができるサービス「SCANBE」を導入している。通常は店内の奥に設置されるケースが多いが、WACOAL isでは同サービスのスキャナーが売り場の最前線に据えられた。その結果、1日当たりのSCANBE体験者数が全国トップレベルに。まずは入店のハードルを下げられたといえるだろう。

 加えて、商品のラインアップにも同店の特徴が表れている。売り場の半分近くはメンズとユニセックスだ。カップルや家族連れの入店を促進する狙いがある。

「実店舗では、男性の方はあまり多くありません。私自身、家族で買い物に行った際、下着売り場に入ることは少ないです。しかし、ららぽーと安城は家族連れが多く来る場所。それにもかかわらず入りづらいのは、お客様にとって良い体験とはいえないでしょう。WACOAL isは“下着屋っぽくない”をコンセプトに、カップルや家族連れでも抵抗なく入れる売り場作りを意識しています」

 オープンな店内、多様な商品ラインアップによって、実際に入店する顧客層が拡大しているという。

「ファミリー層でも気軽に入店してくださるようになりました。アウトレットの実店舗以外ではなかなか見ない光景のため、新鮮に感じています」

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/16754 2025/06/12 07:00

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